社長は企業のトップだ。だから、上司はいない。だから、会社を思うままにできるとおもっている人もいるだろう。でも、本当にそうだろうか?
EvernoteのCEOである、フィル・リービンは、次のように語っている。
”スタートアップ(ベンチャー)を起業してCEOになってみると、実は自分以外が全員ボスのように感じられるものです。
つまり、自分の会社で働いてくれる社員は全員自分の上司同然の扱いで接しなければなりません。加えて顧客、投資家、メディアなど、みんながあなたのボスになります。
かくいう僕も、エバーノートを始めるまで、これほどたくさんの“上司”のもとで働いたことはありませんでした。起業家になれば名声や権威が付いてくると思うのは大間違いです。極めて例外的な場合を除き、起業家の生活はとっても謙虚にしなくてはダメなんです。”(日経ビジネス)
これは、お手本のような答えだろう。結局のところ、経営者が会社を思うがままにできるなんて、幻想なのだ。
しかし、個人的には上のような話だけではないと思っている。
「Calling」という英単語を知っているだろうか。日本語の意味では、「天職」という意味だ。
語源は聖職者が「神に呼ばれて」その職を全うするということからということだ。
天職は、「天命」というほどの大げさなものではないが、何かしらの使命感を感じる職業、というのはあながちまちがってはいないだろう。
話を元に戻そう。社長の上司は誰なのか。
それは、「自分自身の使命感」に他ならない。使命感というと大げさかもしれない。「何かしらの衝動」と言っても良い。
そういった「心の声」は、普段とても小さいので、聞き取ることは難しい。しかし、自分が一人になって耳を澄ますと、心のなかから聞こえてくる。
「今のままでいいのか」
「もっと頑張れるんじゃないか」
「手抜きしてはいけない」
そういった、「自分の中の声」が社長の上司だ。
社長に上司がいないなんて、とんでもない。嘘をつけない、最も厳しい上司が四六時中見張っている。