ec4d751079f2e3815883c521e59d16e9_s採用を手伝っていると、ほんとうに様々な人にお会いする。様々な経歴、様々なスキル、人は本当に多種多様だな、と感じる。そして、その中でご縁があった一部の方に仲間として加わっていただく。

「仲間」として加わっていただくかどうかの判断は、大抵の会社で3つのことを行って吟味する。

1つ目は経歴の確認、2つ目は筆記試験、3つ目は面接だ。中には筆記試験をやらない会社もあるだろうが、経歴の確認と面接を行わない会社はないだろう。

 

さて、多くの方にお会いする中で、一つ困ったことがある。それは「うつ病」の病歴がある方の扱いだ。

特に最近は多い。私の感覚だと、5人に一人位は「このブランクは何?」と思う様な経歴の方がいる。そして、経歴を見て一定期間ブランクがあったり、履歴書に書いてある退職の理由が「過労により」であったりすると、私が知るかぎりでは大抵の会社では面接でそのことについて尋ねる。

 

最初私は「面接で病歴について尋ねるのは違法なのでは?」と思ったが、そうではないようだ。様々な弁護士のQ&Aを見ると、ほとんどが、「精神疾患の既往症の確認はOK」としている。

また、ほとんどの弁護士は採用活動時ここ数年の精神疾患の既往症があるか?への回答を文書でもらうようにアドバイスしている。この場合、嘘をついて既往症を申告しなかった場合、解雇がやりやすくなるようで、企業も入社前にうつ病の既往症のある人物をフィルタリングしようとしているのは明らかだ。

そして、会社、特に中小企業はうつ病の既往症のある方を雇うことにはかなり消極的である。

ほとんどの中小企業経営者はうつ病の既往症があるだけで、「とりあえずリスクを回避するため」に、不採用としていると感じる。

 

 

ある経営者はこう言った。

「うつ病にかかったことのある人なんて、怖くて雇えないです。以前一人うつ病の方が社内にいたのですが、私達は最初彼のために時短勤務にも応じましたし、休職も認めました。もちろん、復帰してもらうように願っていました。」

経営者は少し言葉を切って、つづける。

「でも、一旦復帰してもまた2ヶ月ほど経つとまた会社に来なくなったり、遅刻がちになったり、段々と職場の雰囲気が悪くなって…。で、本人に確認したんです。「どうしたいんだ」って。すると、本人も「わかりません」って言うんです。結局、彼は自主退職しました。それ以来、うつ病にかかったことのある方を採用しないようにせざるを得ませんでした。」

 

また別の会社で、一人の方が募集を見て面接を受けに来た時のこと。こんなやりとりがあった。一通りの質問が終わった後、面接官の一人がこんなことを聞いた。

 

「このブランク期間は、何をしておられましたか?」

「その前の職場でかなり忙しく、体を壊してしまいまして…休養していました。」

「1年間、療養していたということですか?」

「そうです」

「病名は何ですか?」

「いわゆる、うつ病です」

「わかりました。ありがとうございました。」

この応募者は、筆記では高い能力を示していtが、採用されなかった。

 

 

経営者も多くの方は「切り捨てる」という発想ではない。できるかぎり助けてあげたい、と思うのが人情である。しかし、企業の体力からして「ウチで雇うのは難しい」と考えているようだ。

このような人々はどうすればいいのだろうか。

 

厚生労働省は、うつ病の既往症のある方に支援を行っている。

仕事~働くための支援、休職からの復帰支援など~

障害をもつ人たちが働くための様々な支援があります。働きたいけれど不安があるとき、どこに相談すればよいのかわからないときに利用しましょう。

(みんなのメンタルヘルス 総合サイト)

このような支援制度は、ハローワークなどに相談窓口があるそうだ。しかし、事情を知る方から話を聞くと、「きちんと相談に乗ってくれるかどうかは、担当者によりますね」という。

その方はまた、こういうことも言った。

「ソフトバンクのグループは、メンタルヘルス対策にかなり力を入れているようですよ。うつ病復帰プログラムというものがあって、臨床心理士が相談に乗ってくれます。実績もあって、6割の人はキチンと職場復帰できるそうです。面白いことに、その3分の1の人は、以前よりパフォーマンスが高くなるそうです。」

 
6割を高いと見るか、低いと見るかは人によるだろうが、人をたくさん抱える企業はメンタルヘルスに気を配るところも少しずつ増えているのだろう。しかし、「うつ病は甘え」と言い切る方もまだ少なくない。
 
「うつ病」が解明され、原因や治療法が見つかるまで、もう少しこのような状態が続くのかもしれない。
 

 

 

 

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