softbank8月8日に、ソフトバンクの2015年3月期の第一四半期の決算があった。

2015年3月期 第1四半期 決算説明会

IR資料を見れば、ソフトバンクが絶好調であるかのように述べられている。

 

”2015年3月期 第1四半期のソフトバンクグループ連結決算(国際会計基準、以下「IFRS」)は、売上高が2期連続過去最高の1兆9,922億円(前年同期比126%増)、EBITDA[営業利益(償却前)]※1は11期連続過去最高の5,921億円(同67%増)となりました。

営業利益は3,376億円(同16%減)、純利益は776億円(同68%減)となり、売上高、EBITDA、営業利益の三つの指標で、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(以下「NTTドコモ」)とKDDI株式会社(以下「KDDI」)を上回る好決算となりました。”

 

すでにNTTやKDDIを抜き、国内第一位のキャリアとなったと宣言しているようにも見える。

 

しかし、会社経営というものは、勝ったと思った時には既に滅びが始まっていると言われるとおり、不安定なものである。株価を見てみると、国内第一位の発表があったとはとても言えない状況だ。

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9月に入って少し株価が上昇しているように見えるが、これは本業がうまく行っているからではなく、「アリババ」という中国のECサイト大手が株式上場するにあたって、ソフトバンクが同社の筆頭株主であるため、含み益が5兆円ほど出るという話が出たためだ。

 

ソフトバンク株、一時3%高 アリババ上場で「含み益5兆円」

“8日の株式市場でソフトバンク株が4日ぶりに反発し、一時、前週末比3%高の7676円まで上昇した。

中国電子商取引大手、アリババ集団が新規株式公開(IPO)の仮条件を決めた。ソフトバンクは同社の筆頭株主で、株式の含み益が5兆円規模になる見通しとなり、投資家の視線が再び向かった。「財務や経営戦略に有利に働くとの見方から買いが入った」(国内投信運用会社)”(日本経済新聞)

 

従ってこれは一種の「ボーナス」であり、本業がうまく行っていることの現れではない。

 

では、翻って本業はどうなっているのだろうか。おそらく、お世辞にもあまりよい状況とはいえない。多くの方が知るように、海外でも、国内でも、携帯電話市場が飽和し差別化が難しくなってきているからだ。

 

営業利益1兆円は確実でもソフトバンクを悩ます内憂外患

”スプリントは、ソフトバンクの買収直後から格安プランを出したり、学割的なサービスを実施したりしているが、すぐに大手に追随されたり、サービスが浸透しなかったりと、いかにも苦しい。

通信事業者の成長を見る上で重要な、毎月料金を支払う契約数の推移は、解約数が新規契約数を上回り、「独り負け」の様相を呈している。”

頼みの国内市場にも陰りが見える。ソフトバンクの13年10~12月の端末販売数は、対前年同期比3%のマイナス。

おまけにドコモのiPhone参入で価格競争は激化、最新端末のiPhone5sが発売後半年も経ずに「一括0円」で投げ売りされており、費用ばかりかさんで利益が出にくくなっているのだ。”(ダイヤモンド・オンライン)

 

国内の主要通信キャリア3社が揃ってiPhoneを発売し、プランの内容も、サービスもほとんど同等、しかも強みであったiPhoneもシェアを落としている。携帯電話市場は確実に儲からなくなってきている。

実際、売上高は前年同期比126%増加にもかかわらず、営業利益率は16%減少、ガンホーを子会社化した時の一時益を控除しても営業利益の伸びはたったの35%である。

 

しかし、彼らは成長を続けなければいけない。なぜならば、借金が多すぎるからだ。時価総額の減少は、死を招く。

 

”まさに内憂外患を抱えるソフトバンクだが、最大のアキレス腱は有利子負債の多さだ。

 大手通信事業関係者は「金融機関は、時価総額と有利子負債との割合を見ている」と話す。ソフトバンクの有利子負債は、時価総額とほぼ同水準で、世界の通信事業者で見ても下位クラス。それでなくてもソフトバンクの格付けはすでにジャンク債扱いだ。Tモバイル買収となればさらに負債が膨らんでしまう。

 そうした状況で、時価総額が縮小すれば、金融機関が態度を硬化させないとも限らず、資金調達に影響が出かねないばかりか、これまでの好循環が逆回転し始める可能性も否定できない。”

 

ソフトバンクのグループ内での稼ぎ頭はソフトバンクモバイル、ヤフー、そしてガンホーだ。屋台骨のソフトバンクモバイルが傾いた時に、ヤフーやガンホーがそれを穴埋めできるとは思えない。

 

だから、好調な決算の裏で、実は孫正義氏は焦っているかもしれない。エネルギー事業など、補助金に頼った怪しげな事業に手を出しているのも、そういった焦りの裏表、というのは考え過ぎだろうか。