bf959feb7fcdd0a0633ab6a0a50aa1b5_s若手の方や新人さんからよく聞く悩みとして、「自分が成長していないのではないか」とか、「成長している実感が無い」というものがある。

例えば、2014年の4月に入社したとして、この年末で8ヶ月が経過している新人さんのケースで言えば、「会社にはすっかり慣れた」が、当初何もかもが新しかった時期とくらべて、徐々に「自分の変化のスピード」が遅くなっていると感じる頃ではないだろうか。

 

入社して2、3年経つと、あまり考えなくても仕事をこなすことができ、「一安心」ではあるが、なにか物足りない。他部署やWebのニュースを見ると、自分と同じ歳、もしくは歳下の人間が、大きなことをしている(ように見える)。

「果たして自分は今のままでいいのだろうか」

と、悩んでしまうわけである。

 

そういった相談を受けた時、僭越ながら私はいつも、次のように回答をしていた。

「大丈夫。まったく問題ない。今まで通り努力すればOK」

 

 

無責任だろうか?でも、私は確信を持っている。

なぜこのように言うことができるのか、理由は2つある。

 

 

1.自分が「成長していないのではないか」と思えている時点で、すでに大きなハードルを一つ、クリアしている。

「成長が止まっている人」の根本的な問題点は、本人が「成長が止まっている」、あるいは「成長しないといけない」という自覚がないことにある。実際、上司が困るのは、「自覚がない」ということただ一点のみであって、意欲さえあれば、成長のスピードに差こそあれ絶対に人は成長する。

実際、企業内教育の課題としてもっとも数多く経営者から寄せられる悩みが、「向上心がない」ことであった。仕事に慣れてくると、「成長が必要である」ということを忘れてしまう人が大多数なのである。

「成長」は、「自分に能力が足りていない」という自覚がエネルギー源でなのである。これは、新人だろうがベテランだろうが、偉大な経営者だろうが皆同じだ。

 

 

2.成長は、「坂を登る」のではなく、「階段を昇る」ようにやってくる。

もう一つの理由は、「能力」の上がり方に関するものだ。

勘違いされやすいのは、「仕事における能力向上」と言うのは、ゲームなどとはかなり違う、ということだ。ゲームなどの主人公は、経験値を積むと少しずつレベルアップする。丁度、坂を登るように滑らかに能力値が上昇する。

だが、現実の人間の能力の向上は、「階段を昇るように」やってくる。「ある日、急に今までできなかったことができるようになった。」というのが、人間の成長だ。例えるなら、「経験値を積んでレベルアップ」ではなく「超強力な武器をいきなり手に入れていた」といった感じである。

ある考え方、行動様式を身に付けた瞬間、「突然能力が開花する」のが人間の面白いところだ。レベル1だった人間が、いきなりレベル20にも、30にもなってしまう。

 

でも、勘違いしていただきたくないのは、これは「努力を否定するものではない」ということだ。

なぜなら、「考え方・行動様式」は、教えられたただけでは身につかないからだ。

例えば、「相手の身になって考える事は大事だ」と教えられたとしよう。でも、「どうしたら相手の身になって考えられるか」は、毎日の仕事や生活の中で実践し、繰り返し相手の反応を見ながら自分へフィードバックを繰り返した人だけが身に付けられる。当然失敗も多い。

そして、ある時急に「言葉にはできないけど、相手の身になって考える、ということがどういうことかようやく分かった」と言えるようになる日が来る。それまではひたすら努力である。

ゲームのように、経験値が能力をそのまま向上させるのではなく、経験値がひらめきを生み出し、ひらめきが能力を向上させる。これが人間の成長の姿だ。

 

 

だから、私は「成長の実感が無い」という方へ、

「大丈夫。まったく問題ない。今まで通り努力すればOK」

と言うのだ。

 

 

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