「管理職」という言葉がある。4月から、新しく管理職になった人もいるだろうと思うので、少し書いてみる。文字通り、「部下を管理する職位」という意味で使っている方が多いと思われるが、実は「人を管理する」というのは大変に難しく、その割には成果の上がらない活動である。
それは、根本的に人は
「管理されたくない」
生き物であるからだ。考えてみて欲しい。「上司の言うことに服従する」ということが好きな人間などいない。もちろん「黙って従うほうが楽だから」とか、「お金をもらっているから」という理由で上司には従うだろう。
しかし、「管理されたいから」という理由で上司に従う人はいない。人間は奴隷でいることに誇りを感じることはない。
だが、現実には新入社員は「社会人の常識」という名のもとに、上司に服従することを求められる。
「眼の前にあることをがむしゃらにやるべきである」
という、まことしやかな言葉とともに、そして、それは給料をもらっている以上、当然のこととして処理される。
しかし、管理職は知るべきである。
もしその人ががむしゃらに働いていたとしても、あなたが言ったからではない。
もしその人があなたの言うことを聞かなかったとしても、それは当然である。
人は、自分で決めたことしかやらないのだ。
自分で決めたことではないことをやらせようとすれば、モチベーションは上がらず、上司との対立は深まる。
では管理職は何をするべきなのか。それは、
「自己管理の手伝いをする」
ことではないかと思う。少なくとも「人を管理する」ことではない。
自己管理の手伝いをするということは、助言を与え、専門知識によってその人の行動を支援し、
何よりも上司の人格と行動によって、社会人としてのあり方を部下に示すことである。
であるから、私は、「社会人としての常識だ」とか、「とにかく黙ってやれ」というような言葉を安易に使うような上司を信じる必要はないと思う。
部下を見るといい、部下は上司の行動と人格をよく見ている。言葉ではない。