目標管理、という言葉は企業においてはすっかり一般的な言葉になったといってもいいと思います。特に、管理者側に立てば目標を使って従業員を管理する手法であるとの認識が一般的でしょう。しかし、現場を見れば「目標管理」を導入したことで会社の業績が著しく伸びたという話はあまり聞きません。むしろ、目標管理を取り入れることで、「やらされ感がある」「行き過ぎた管理だ」など、従業員のモチベーションを損なうという話のほうが多いと思います。
なぜ、目標管理は企業において効果を発揮しないのでしょうか。それは、目標管理という言葉を生み出したピーター・ドラッカーの著作にその理由を見ることができます。
実は、目標管理という言葉、正式な言い方にすると「目標と自己統制にによる管理(Management by objectives and self-control)」となります。これは経営陣が従業員を管理する、と言うよりはむしろ「目標による自己管理によって成果を上げる」という意味合いを含んでいます。従業員を管理せず、従業員自身に自己管理を行なってもらい成果を上げることが、目標管理の本当のねらいです。
多くの企業は自発的に動く従業員を求めています。とすれば、目標管理のあり方を経営陣主導ではなく、従業員主導のやり方に見直す時期に来ているといえるでしょう。