論文を書くときは「事実」と「意見」を区別せよという記事を見た。この話は「文章の書き方講座」のような場所でよく見かけるのだが、きちんと考えると意外にに難しい。
NHK for Schoolというサイトでも、これについての動画があり、5年生、6年生向けに配信されている。そのなかで、
- 事実=本当にあったこと、誰でも確かめられること
- 意見=その人が考えたこと
と定義されている。その中で、「◯◯さんは頭がいい」「◯◯さんは足が速い」というような事例を挙げ、「人によって意見が異なるのが意見、人によらず一致するのが事実」であると説明されている。なるほど。
では、もうすこし難しい問題をあげてみよう。
「山手線は緑色である」
これは事実かどうか?
先ほどの定義に照らしあわせれば、これは「意見」である。上の写真を見て、「白だ」という人もいれば、「どの部分?」と聞き返す人もいよう。人によって異なる見解を持つものは「意見」である。
それでは、更に迷う問題を挙げてみる。
「地球は、太陽の周りを回っている」
これは事実かどうか?
さらに、
「人類は猿から変化した種族だ」
はどうだろう?
どちらにも見解を異にする人々がいる。
だからといって、殆どの人は「事実ではない」とは考えない。では、「事実」と「意見」の境目はどこなのか。
ハッキリとした答えはおそらく出ていないだろう。したがって、事実というものはあくまで「多くの人がそう思うかどうか」という判断を含む話であり、「科学的」という言葉とおなじように使い方の難しい言葉なのだろう。