銀座に、ハリー・ウインストンという宝飾品店がある。世界的に有名なダイヤモンドを扱う店だ。知られている通り、店に入るのは結構敷居が高い。
お店の扉の前にはドアマンがひかえており、彼にドアを開けてもらわなければお店に入ることもできない。
なぜ、こんなことをするのだろうか?
ご想像の通り、わざわざお店に入りにくくしている理由は「顧客を選ぶため」だ。冷やかしの客や、お金を持っていない人は「店に入らないで下さい」と暗に言っている。
本当にダイヤを買いたい、という客への接客時間を最大限にするため、あるいはセキュリティ上の観点などから、客の足切りをしているのだ。
彼らの顧客層は経営者と医師で8割を占め、彼らから高い評価を獲得している。
「村上開新堂」という老舗の著名な菓子店がある。この店は、「紹介」を貰わなければ、菓子を買うことができない。
当店は創業以来手作りを続けておりますため、一日に出来ます量が非常に限られております。そのため、当店の商品は全てご予約にてご用意させていただいております。初めてご注文されるお客様は、当店をご利用いただいております方からご紹介をいただき、お名前をご登録いただいた後にご予約を承っております。
(http://www.kaishindo.co.jp/products/)
「既存顧客からの紹介を受けた方のみに販売する」というこの方式は、顧客のレベルを保つために必要な行為だ。
つい先日、ラーメン店として初めてミシュラン星を獲得した店が、店舗を休業すると発表した。あまりにも多くの客が詰めかけ、近隣住民からの苦情や様々な問題が続出した。
ミシュランで1つ星獲得の「Japanese Soba Noodles 蔦」 2号店は年内で休業
毎日のようにご意見の電話があり、それに対して現在も色々とやっております。一つ改善すればまた新しいことを言われ続けていくのもなのかもしれません
客を選ばなければ、ミシュランを獲得しても窮地に陥る。
本質的に、顧客に満足の行くクオリティのサービスを提供するために何が一番重要かといえば、それは、供給側と顧客側が協力し合う仲になることだ。
ただ、どんな顧客とも仲良くやっていけるわけではない。企業がサービスのレベルを高めれば高めるほど、顧客へもそのサービスに見合う礼儀と対価を持って接することが求められる。
老舗とよばれる名店や、ハイレベルの飲食店、その他あらゆるサービスは、ほぼ例外なく「良い常連客」を持っている。「一見さんお断り」の看板を掲げる老舗が多いのも、「顧客のレベルを保つため」にほかならない。
「どんな顧客にも良い顔をする」ことが、逆に会社をダメにすることを、良い経営者は皆知っている。
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