知り合いの中で「有能だ」とされる人々を観察すると、そうでない人に比べて卓越している能力が「学ぶ」能力だ。学ぶ能力はそれ以外のどのような能力よりも価値がある。
常に新しい知見を獲得し、新しい事を行い、自分の力とできる能力こそ最も希少で、得難いものだ。
そして、彼らの「学ぶ」能力の高さの特長は、「嫌いな人からも学べる」ということだ。
だが、彼らが感情的に動かない、というわけではない。彼らは皆、感情を大切にする。しかし、驚くべきは感情を超えて「学ぶ」能力が高いのである。
例えば、ある人は「あいつは嫌いだ。あいつから学ぶことは何もない」という。
またある人は「あのやり方は最低だ。絶対に真似しちゃいけない」という。
しかし、彼らは違う。彼らは
「あいつは嫌いだ。だからこそあいつから学ぶ必要がある」という。
ある職場で「同僚が死ぬほど嫌いだ。なにせ、勝つためには手段を選ばないから」
という方がいた。聞くと、その同僚は上司に取り入るために「他者を貶めることによって、自分の評価を上げる」というタイプだ。
「あいつはこんなことを言ってましたよ、弱音を吐いていましたよ、上司の方針に不満があるらしいですよ」と上司にいうことで、「情報通」としての地位を確立した。
要は「チクリ屋」だ。
だが、その方は「彼の行動をそのまま真似することは出来ないが、学ぶことはたくさんある」という。
彼は言った。
「つまり、上司は情報を欲しがっている。だれが何を言っているか、自分の言ったことにどのような反応があったかを、表には出さないが、かなり気にしている。あの同僚はクソだが、上司の事を観察することには長けている。」
感情が先に来る方は
「あのチクリ屋の意見を聞く上司もクソだ」と、学ぼうとしないだろう。
だが彼は上司にチクリ屋よりも先に積極的に上司に情報を渡すことで、同僚の意見の価値を無いものとした。
またある人は「社長が死ぬほど嫌い」という。理由を聞くと「ケチだから」と述べた。飲み会でも決して部下にごちそうせず、管理職にカネを払わせるとのこと。
彼は「管理職にカネを払わせる社長なんて、聞いたことがあるか?」と憤慨する。だが、彼は言った。
「社長がケチだからこそ、学ぶところもある。例えば、取引先に振り込むときに、振込手数料は必ず相手に負担させる。条件と違う仕事を社員がやらされたら、必ず15分単位で相手に請求する。余計な経費がかかっていないかどうか、1年に一回、必ず経理のチェックを自分でする。すごいと思わないか?おかげで、たしかに利益は毎年あがっている。」
彼は、ケチな社長から「利益の出し方を教わった」と言う。
「有能さ」は「学ぶ力が感情に勝つか」に顕著に現れる。
それは「自制心」と「客観性」の卓越している証拠なのかもしれない。
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