「学歴フィルター」という言葉がある。学歴フィルターとは、就職活動の学生の間でよく使われる言葉であり、学歴による応募者の選別のこととほぼ同義である。
“学歴フィルター(がくれきフィルター)とは日本の就職活動において使われている用語の一つ。就職活動において入社を希望する者を採用か不採用か決める場合に、一定レベル以上の大学に在籍しているかという基準で決めるという事である。これで多くの者はエントリーシートなどといった初期の段階で大学名だけで不採用となってしまうという事であり、どのような人物であろうと良い大学でなければ自身をPRする次の段階には進む事が不可能なわけである。この言葉はかつてはインターネットスラングであったが、近年になってから数多くのメディアで報道されるようになっている。”
しかし近年、「学歴フィルター」が取りざたされる機会は増えているように感じる。特に今の時期は。
学歴不問」はウソ? 厳しい企業の本音 (日本経済新聞)
大企業への応募がWebから気楽にできるようになり、応募者の情報処理に非常に時間がかかるようになったことが、学歴フィルターを助長しているとも考えられるが、実際は大企業だけでなく、中小企業にも「学歴フィルター」が広がっていると感じる。
「学校で習ったことなど役に立たない」と企業が言う。また、人事も「面接の時はほとんど学歴を気にしていない」という人は多い。しかし実態は矛盾しているようにみえる。
なぜそう考えるか。「リクナビ」の企業側が使うページの構成を見るとそれはすぐに理解できる。
日本一のリクルートサイトである「リクナビ」は、学生が見るページと、企業側が見るページとで分かれており、企業側は自分たちの企業にどのような人が応募してきているかが、そのページから確認できる。
そして、その学生を確認するページの構成を見ると、表示できる学生のプロフィール項目が、名前や住所の他には学校名や所属ゼミ、サークルなど、ほとんどが所属している学校に関わる情報なのである。
考えてみて欲しい、学生の一覧にある情報は、ほとんどが「学歴」に関わるものであるという状況を。
担当者が仮に「人物重視」にしたいと考えていても、実際にエントリーシートにすべて目を通さない限り、学生のソートもできない。
つまり、「リクナビ」というシステムを使うということは、学生をデータ化すること言うことだ。データ化するということは、学生の能力を定式化できるパラメータとして扱うということ。言い換えれば、「リクナビ」そのものが、学歴フィルターなのである。
企業がリクナビを使えば、自ずから学歴フィルターを採用せざるを得ない状況が作り出されるということだ。
大量の応募者を扱うための「データ化された人材を扱うシステム」こそが、学歴フィルターの正体だ。
そこには差別意識もなければエリートの傲慢もない。ただデータをフィルタリングするシステムが有るだけだ。