a1180_006694「趣味が高じて本業になりました。」という方がそれなりの数いる。ものづくりにも、ソフト開発にも、お店にも。

ついにEコマースに「化石」が登場:趣味が高じて化石オンラインショップを立ち上げた起業家の話(Lifehacker)

趣味が高じて年商300万ドル。石鹸作りを教えるECサイト「Bramble Berry」(BLOGOS)

 

 

そういったサクセスストーリーは聞いていて非常に面白い。しかし、実際は趣味が高じても「本業」としない人の方が圧倒的に多い。

「毎日好きなことができる」、「趣味と実益を兼ねる」は、理想的な人生に見えるが、なぜなのだろうか。

 

最もありそうな理由は「稼げるかどうかわからない」から本業としない、ということだろう。当たり前である。起業をするということは、定期的な収入が保証されない、ということだ。

収入がなければ生活は破綻する。そこは間違いなく大きな溝の一つだ。

 

しかし、それは表面的な理由であり、真の理由はもっと深い所にある。

何か。

それは「誰のためにやっているか」だ。「趣味」と「本業」は、本質的に異なる営みである。

 

趣味は自分のため

本業は顧客のため

 

自分のためであれば、「自分がいいと思うものだけ」を扱えばよい。しかし、そこに「顧客」が出てくると「顧客が良いと思うもの」を扱う必要が出てくる。

だから、「趣味が高じて事業」とするためには、自分が良いと思うことが、一定数の人に支持される必要がある。そして、その数が多ければ大きいほど、事業は大きくなる。

 

自分にしかこの良さがわからない、というような趣味は事業にはならない。

事業にするには、「自分にとっても、他の人にとってもこれは良いものだ」と確信できなくてはいけない。

そして、そのためには「自分の作り上げたもの」を、できるだけ人に見てもらい、批評をもらう必要がある。それ以外に確信を得る方法はない。

 

多くの人は、自分が好きなモノをけなされることに慣れていない。

だから、自分だけのためにやっていた時に楽しかったことでも、他人に批評されると「ひょっとしてこれはダメなものでは」と不安になってしまう。

不安を払しょくするためには「評価されるまで作品、商品、アウトプットを出し続ける」しか無い。これは長く、出口の見えないトンネルの中を歩くようなものだ。

もしかしたら、かの有名な画家、困窮のうちに亡くなったゴッホのように、生前にはほとんど評価されないかもしれないのだから。

 

だから、普通の人は趣味を本業にするようなことはしない。

「趣味を本業とすると、それが嫌いになる」と言われる。そのとおりである。

 

しかし、「起業家」や「クリエイター」は、「それこそが人生」と割り切れる人たちのことである。「趣味」を「本業」にするということは、そういった葛藤の存在を「是」とすることに他ならない。

そしてもしあなたが、そういった考え方に切り替えることができるなら、今すぐ作品を公開するべきだ。失うものはなにもない。