全国27校ある校舎のうち、20校を閉鎖すると発表した代ゼミだが、「不動産業」に転身するのではないかという憶測が流れている。
代ゼミは不動産業で生き残る 遊休地でホテル、商業施設、貸会議室
”全国27校舎の7割を閉鎖する方針が明らかになった大手予備校・代々木ゼミナールが、以前から旧校舎などを活用した不動産業を進めている。
古くなった建物をホテルや会議室といった形態に改装しただけでなく、おしゃれな商業施設になったところまである。”(J-castニュース)
もちろん、生き残るためには手段を選んではいられないとは思うが、予備校が不動産業をやることに対して、違和感は残る。
また余談であるが、学校法人は税制上優遇されており、不動産業をやることに対して「脱法行為では?」と指摘する人もいる。
代ゼミの「予備校から不動産会社に華麗な転身」を賞賛してはいけない~不動産取得税・固定資産税が非課税の学校法人が不動産運用って「脱法行為」そのもの
”日本の法律は、学校法人が解散もせず「不動産運用」で収益を上げることを想定などしていないのです。だからこそ「不動産取得税・固定資産税が非課税」という特権が学校法人には与えられているのです。
学校法人がホテル営業などや土地開発などの不動産活用で利益をむさぼるなど、法的規制を掻い潜った強引な手法、はっきりいって「脱法行為」そのものです。”
事の真偽は専門家でない私にはよくわからないが、「教育を真面目にやる」という理念を今の代々木ゼミナールに感じなくなったことを寂しく思う人は多いだろう。
また、ソニーが不動産事業を立ち上げたとの報道もあった。
”ソニーが不動産仲介業に参入し、新会社「ソニー不動産」が今月から営業を始めた。ビッグデータを活用するなど得意の情報技術を駆使し、不動産業界の慣例を破る手数料設定にしたのが特徴だ。”(朝日新聞)
ソニーは既に銀行や保険も扱い、金融事業は彼らの柱の一つとなっているので、不動産を扱うのは時間の問題であるとは思っていた。が、やはり違和感を感じる人は多いだろう
なぜソニーが不動産、介護…飛び地で見つめ直す原点 ~ソニー・スピリット取り戻せるか
” ソニーが4月、「ソニー不動産」を新設し、不動産仲介・管理事業への参入を発表すると、社内外から疑問や批判の声がわきあがった。あるソニーOBは「本業のエレクトロニクスが不振なのに、『飛び地』の不動産に注力するべきタイミングなのか」と手厳しい。この発表をきっかけにソニーに落胆して退職を決めた社員もいるという。”(日本経済新聞)
「ソニースピリット」があれば、エレクトロニクスでなくとも事業は何でも構わない、と考えているのだろう。
それはそれでいい。が、代ゼミにしろ、ソニーにしろ、「本業」はこれからどうなるのだろうか。かつての本業が、本業ではなく単なる副業になる時が来るのだろうか。
そして、実はイオンも「本業」が苦戦中だ。
”本業が惨憺たる結果だった。7月4日にイオンが発表した第1四半期(3月~5月)決算は、本業のGMS(総合スーパー)事業、SM(食品スーパー)事業が、ともに営業赤字に沈んだ。”(東洋経済)
”・イオンフィナンシャルサービス発足による、総合的な金融サービスを提供できる体制が優位性を発揮
・カードショッピング、カードキャッシングが順調に伸長
・銀行ATM台数も5000台を超える”(イオンIR資料)
もちろん、イオンは「本業あっての金融」なのだろうが、スーパーが赤字をいつまでも垂れ流すわけにもいかないだろう。
もしかしたら、「本業」はトントン、儲けは金融で、というのが、これからの企業のスタイルなのかもしれない。
が、ソニーの「本業」の1ファンとしては、寂しい限りである。