仕事は楽しいか？と問われたとき、日本人は世界の中でも「楽しくない」と回答する人の割合は群を抜いている。
2005年のNHK放送文化研究の国際比較調査では、日本人は仕事に対する満足が世界最低水準のグループに属していることがわかる。
2005年当時は「いざなみ景気」でゆるやかな経済成長の時期出会ったにもかかわらず、この調査結果である。現在ではさらに悪化している可能性が高い。
なお、この調査では日本人の仕事に対する満足度が低い理由をこう分析している。
仕事の満足度と正の相関が強いのは，仕事の評価のうち「自分の能力を高められる」と「おもしろい」，「経営者と従業員」および「職場の同僚」との人間関係，そして「今の職場で働いていることに誇りを感じる」が挙げられる。また，「ストレスを感じる」については，仕事の満足度との負の相関が認められた。（中略）
・仕事をするうえで，「昇進」や「独立性」を重要だと考える人は少ない。
・職業を持っている人は，仕事の満足度が低く，自分の仕事に対する評価が低い。
・仕事のストレスを日常的に感じている人が多い一方で，今の職場を離れようと考える人は少ない。
つまり、日本人で「仕事が面白く無い」という人の仕事観の根底には、
「会社に使われており、自分ではコントロールできることが少ない。雇用の流動性が低いので、職場を変えることが出来ず、人間関係の悪化や仕事にやりがいがないことがなかなか解決できず、仕事のストレスを溜め込みやすくなっている」
という状況がありそうだ。
さらに、日本は解雇規制が強いにもかかわらず、「失業の心配がない」と回答する人も日本人は下位に位置している。結局のところ、「法的には解雇できないが、実質的に社内失業＝解雇、あるいはリストラの対象となれば辞めざるを得ない」と考えている人が多いのだろう。
まさに八方ふさがりの状況、といったところだ。この状況下で「仕事がつまらない」という人はどうすればよいのだろうか。先日ある人から相談を受け、それについて個人的に様々な会社で観察をした結果、最もストレスに対して有効なのは、「勤め先以外の世界を作る」ことだった。
具体的には、以下の方法が有効だ。
1.転職活動せよ。
職場でストレスが溜まる大きな原因の一つは、「自分でコントロール出来ない事が多すぎる」という点だ。特に人間関係は顕著である。上司や同僚は自分の力で取り替えることが出来ない。
これを打開するために一番有効な方法だと多くの人が回答したのが「転職活動」だ。転職サイトに登録し、いろいろな会社を見に行くだけでも気分は晴れる。自社しか見えなければ八方ふさがりに見えるが、他社を見ることで状況を俯瞰でき、気に入った会社があれば本当に転職してしまっても構わない。
ただし、会社をやめて、無職となってから転職活動をするのはおすすめできない。世界が狭くなってしまうからだ。
2.ボランティア活動等に参加せよ。
ボランティア活動は、「世の中の役に立つから」という理由ではなく、「職場以外の世界を持つことができる」からという理由で始める人も多い。実際、「これ以上会社で出世の見込みがなくなったので、やりがいのあることを見つけに来た」という方も数多く参加している。
そういう方と話せば、また得るところも多いだろう。また、あなたがまじめに活動を行えば必ず人に感謝される。それは、仕事よりも尊いことがあることを再認識できる良いチャンスだ。
3.何かを作れ。副業せよ。
サラリーマンは少額でもいいから、「副業」をしたほうが良い。そのたった一つの理由。という記事でも紹介したが、「何かを創る」副業は自分の力でコントロールできる貴重な仕事だ。収入云々の前に、スキルアップや、「自分の仕事への誇り」や、「自分の仕事に対する顧客からのダイレクトな評価」がもらえる。
職場でそういった機会を得ることが少なくなった人は、ぜひ「副業」をしてみてほしい。新しい世界はあなたのストレスを軽くし、仕事を楽しい物に変えるだろう。Youtubeに動画を上げるだけでも、ブログを書くだけでもいい。絵を描いても、プログラムを書いても、なんでもいいのだ。そして、人に見せよう。小さな活動が、人生を変える。
4.体を動かせ
カラダを動かすことがストレスを減らす、という証拠はいくらでもある。家で煮詰まるより、外へ出て体を動かそう。何人かで集まって体を動かせば、それだけ違う世界も生まれる。また、大会があるようなスポーツをやれば、自分がやったことの成果も測ることができる。
個人的には「自転車」がこれに当たる。一人でもできるし、何人かで集まって走るのも楽しい。大会に出れば普段は出会うことのできない人々との出会いもあり、世界が広がる。
5.人に会いに行け
学校の時の担任、昔の友人、転職していった仲間、たまたまイベントでであって連絡先を交換した人…、年賀状のやりとりだけはしているけれど、最近合っていない友人など、連絡を暫く取っていなかった人に会いに行こう。
彼らはあなたと別の世界に生きている。彼らとの再開はあなたに「会社以外の世界」を提供してくれるだろう。アドレス帳を見返して、年賀状をひっくり返して、いますぐ連絡を取ろう。きっと向こうもあなたに会いたいはずだ。
6.本を読もう
本は別の世界への扉だ。本はあなたに「仕事以外の何か」を教えてくれる。よくある「自己啓発書」や、「ビジネス書」なんて無理して読む必要はない。読むのならとびきり面白い小説がいい。
さしあたり、Amazonのオールタイム・ベスト小説100あたりから何かを選んでおけば良い。つまらなかったら直ぐに読むのをやめて、別のものを読めば良い。きっとあなたの最高の一冊がいつか見つかる。
「あの本と出会って人生が変わった」という体験をした人は多い。あなたも直ぐに、その一員になれる。
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