6133118885_b50aa1ba01_z社会人として成長してくると、視点が高くなり、物の見え方や見える世界が変わってくる。特に「何を偉大であると思うか」は、その人の視点の高さを顕著に反映する。

例えば、ある商社に入社した若手がいる。その方の数年ごとの

「自分がすごいと思う対象」

の変遷は以下のようなものだ。

 

 

1年目 先輩すげぇ…

学生の時は芸能人や有名人などに漠然とした憧れを持っていたが、働き始めると知に足がつき「身近な存在」に対して興味が無くようになる。具体的には

「仕事がしっかりこなせること」

への畏敬の念が生まれる。「先輩すげぇ…」と思うようになったら、きちんと働きはじめた証拠だ。

セコかったり、頼りないように見えたけど、締めるところは締めているな、と思える人が出てくるようになる。

 

 

3年目 リーダー(マネジャー)すげぇ…

徐々に仕事を覚えてくると「先輩」が何をやっていたのかがわかるようになり、ある程度自信もついてくる。すると徐々に「自分達をまとめているリーダー」に興味が出てくるようになる。具体的には

「チームをまとめていること」

への畏敬の念が生まれる。「リーダー(マネジャー)すげぇ…」と思うようになったら、仕事である程度独り立ちできた証拠だ。

色々とチーム運営に不満もあるけど、彼も頑張っている、私も負けないように頑張ろう、と思えるようになる。

 

 

6年目 社長すげぇ…

後輩もある程度でき、リーダークラスの人材になってくると、人を動かすこと、人に協力してもらうことを憶えなければならなくなる。人として一回り大きくなった証拠だ。すると徐々「経営」に興味が出てくるようになる。具体的には

「経営者が会社を切り盛りし、社員の生活の面倒を見ていること」

への畏敬の念が生まれる。「社長すげぇ…」と思うようになったら、リーダーとして成熟してきた証拠だ。

ウチの会社、給料安いけど、そんなにすごい会社でもないけど、リーダーを束ねて社長も頑張っている、と思えるようになる。

 

 

8年目 創業者すげぇ…

社長の右腕として働いたり、あるいは管理職として活躍したりして視点が高くなってくると今度は徐々に「会社を作ること」や「商売ができていること」に興味が出てくるようになる。具体的には

「皆が仕事出来て、生活していける場所をつくりあげたこと」

への畏敬の念が生まれる。「創業者すげぇ…」と思うようになったら、ある程度経営者としての視点を持っている証拠だ。

よくこんな勇気があったな、よく継続する会社を作り上げたな、と思えるようになる。

 

 

10年目 会社ってすげぇ…

経営者として、あるいは経営者としての視点を持って働くようになってしばらくすると、今度は徐々に「企業という制度」や「企業そのもの」「商売のあり方」に興味が出てくる。具体的には

「世の中で商売ができていること」

への畏敬の念が生まれる。「会社ってすげぇ…」と思うようになったら、一つの会社の利害だけではなく、業界全体や複数の企業の付き合いの中で生まれるものに視点を移すことができた証拠だ。

我々は一介の企業だけど、これだけ商売をして、これだけ世の中に貢献しているのだからすごい、と思えるようになる。

 

 

12年目 国・社会ってすげぇ…

業界全体や複数の会社の利益のために働く視点が身につくと、今度は徐々に「企業という存在を支えてくれる制度」や「商売が安全にできる環境」に感謝ができるようになってくる。具体的には

「多くの会社が相互に関係しあって、世の中を発展させていること」

への畏敬の念が生まれる。「国・社会ってすげぇ…」と思うようになったら、どのような場所においても働く意義を見いだせるようになるだろう。

一つ一つの会社に物語があり、創業者がいて、そこで頑張っている人々がいる、と思えるようになる。

 

 

15年目 人ってすげぇ…

国や社会のことを考える一方で、目の前のことに対してきっちり成果を出し、地に足つけて働けるようになってくると、徐々にあらゆる人に向けて尊敬と感謝を向けることができるようになってくる。具体的には

「社会、経済、国家を作り上げた人類」

への畏敬の念が生まれる。人の欠点や能力不足などは克服でき、人に対して更なる可能性を信じることができるようになる。人々の中で、自分のできることをきっちり果たそう、という義務感も生まれる。具体的には

人間は欠点もありクズみたいなこともするけど、素晴らしい存在であり、努力によって多くをつくり上げることができる、と思えるようになる。 

 

 

なお、上でご紹介したエピソードはすべて、一人の個人の視座の成長である。すべての人がこれに当てはまるわけではないことを、申し添えておく。

 

 

 

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