web上には情報が溢れている。web上だけでも溢れているのに、さらに追い打ちをかけるように、TVをつけても、ラジオを聞いても、新聞を読んでも、雑誌を手にとっても、今は情報過多だ。
でも、最近特に感じるのは、「webの情報は随分偏っている」ということ。
今web上にあるのは、「だいたい自分たちと同じ様に考え、行動する人々」の情報だ。総務省のデータを見ても、要するに、「10代から、60歳くらいまでの人々」が考えて、発信する情報といえる。
そこには、子どもや60歳以上の人たちの見解は入っていない。
その一方で、日本全体の資産のうち、60代以上が持っている割合は70%以上である。お金は、高齢者が握っているのだ。
web上には「インターネットを用いたビジネスモデル」が溢れているが、それらの殆どは、「都会に住み」「情報リテラシーが高く」「消費に前向きで」「賢い」消費者をターゲットとしている。
「実際には最もお金を持っている人たち」は、そこにはいない。
Amazonが本屋を駆逐するとされているが、Amazonのシェアは10%程度でしか無く、本のほとんどは相変わらず書店で買われている。
実際、地方の高齢者、権力者たちと話すと、いかに自分が無知であるかを痛感する。
地場産業は、人のつながりで商売を行い、web上の他人にはあまり興味が無い。政治家とつながり、地方にどのようにお金を引っ張るかを考える。そこにはグローバル人材もイノベーティブなビジネスモデルも必要ない。
必要なのはまじめに働く人々と、地域に必要なものを供給することである。
地方は「都会」がものを買ってくれればそれで良いのであり、それ以上のことは干渉もしないし、干渉もされたくない。
残念ながら「グローバル化しないと食べていけない」のは、都会に住む土地も地縁も持たない人々であり、土地にに根ざして生きる人々は、極端な話をすればその土地だけでも生きていける。
TPPによって日本の農業が破壊される、という人がいる。
地方の人々にとっては実はどうでも良い話だ。もともと農業だけで生活している人はほとんどいない。農業は自家消費用なのだ。
もっとも、それは「ビジネス」にはならないが、そんなことはどうでもよい。もともと農業は「ビジネス」ではない。結果は、人間が出すものではなく「お天道さま」が与えてくれるものだからだ。収量は安定せず、それに依存した生活はおくれない。
都会に住み、webの情報、メディアの情報だけを見ていると、間違っているわけではないが確実に偏った見方をするようになる。
気をつけなければ。