「本田宗一郎が怒っている」というタイトルの、故本田宗一郎氏の貴重な講演映像がある。従業員からは「オヤジ」と呼ばれていたそうだが、まさしくその名の通りの講演で「オヤジが管を巻いている」といった風だ。
「本田宗一郎が怒っている(1/5)」
全部で60分の映像を5分割してあり、少し長いのだが一気に見てしまった。内容は税金の無駄遣いの話から、教育改革、日本人のユーモア精神まで多岐にわたり、どれも面白い。
「神プレゼン」はスティーブ・ジョブズが有名だが、本田宗一郎のプレゼンテーションも全く負けてはいない。むしろ身近な話題が多い分、共感の度合いは高いと思う。
さて、その本田宗一郎のプレゼンテーションの中に
「なんでもできるやつは気の毒だなー」という発言がある。
「本田宗一郎が怒っている(4/5) 10:00のあたり」
「なんでもできるやつは気の毒だなー、人に聞かないからね。人に聞くということは、相手を尊重するということなんです。「これはどういうふうになるんですか」と聞く、そうすると教える方はやっぱり、優位な立場で「知っているから教えてあげよう」と、こうなる。ああそうですか、どうもありがとう。ここに人間関係が生まれていくと思う。」
本田宗一郎氏の「人間関係」や「教育」の考え方はたった一つ。「長所を伸ばせ、その長所を持って協力」だ。上の一言には、それが集約されていると思う。
1980年代初頭の公演だとのことだが、本田宗一郎氏の指摘は30年以上たった今も、本質をついている。戦後の日本を作り上げてきた名経営者の考え方を知るための非常に良い動画だ。