この所今ひとつぱっとしない本田技研工業から、面白いニュースが発表されていた。
ホンダ S660 プロトタイプ、開発責任者はなんと26歳…スタッフ平均年齢も30代
開発責任者代行を務める本田技術研究所四輪R&Dセンターの安積悟主任研究員は「S660の開発責任者は非常に若くて、今26歳。開発スタッフも若手ばかりで平均年齢は30歳代」と明かす。
(Yahooニュース)
ホンダから軽のスポーツ車が出るのは19年ぶりだとのこと。
ホンダは最近エアバッグの問題などで非常に苦戦していたため、売れにくいと言われる「スポーツ車を創る」というのは非常に面白い試みだ。ホンダは売上の大半を軽自動車やコンパクトカーに依存しているため、もはや往年の「スポーツ車のホンダ」というイメージは無い。
下の記事が示すように、「かっこいい車を作る会社」というイメージがなければ、価格競争に陥るのは必然なのだろう。
なぜホンダの収益力がここまで落ちているのか。単純明快に言えば、いくらクルマを売っても儲けが薄く、利益が積み上がらないからだ。国内で売れているホンダ車の半分は軽自動車、その他も「フィット」などのコンパクトカーが主流である。
クルマをできるだけ安く作り、競争力のある値段で売るという薄利多売を基本とした拡大路線が加速したのは、現相談役の福井威夫氏が社長に就任して以降のことだ。
(PRESIDENT Online)
そんなホンダから出た久々の明るいニュースだ、今後注目していきたい。
だが、このニュースにはもう一つ、面白いことがある。開発責任者が「26歳」というかなりの若手だということだ。ただ、若手の思い切った起用はどこの会社でも難しいもの。
この話を聞き、ある会社で「若手の起用の条件」についての話があったことを思い出した。ある中堅製造業の会社での話だ。
製造業であればどこの会社でもある話だが、ここでも「若手を起用して、思い切った差別化のできる製品を作りたい」との願いが経営陣にあり、何度か若手を抜擢したが、何度も失敗したそうだ。
だが、粘り強く経営陣は若手を抜擢しつづけ、「若手を抜擢するときの条件」を発見したそうだ。それをご紹介する。
1.今の仕事に不満を持っていない人に任せる
「今の仕事に不満を持っているので、新しいことをやりたい」という若手を起用するのは非常に危険なことだ。社長はそんな時、「とにかく、今の仕事で実績を出しなさい。それでまだ新しいことをやりたければ、そうしなさい」と言うそうだ。
2.「古いものを壊す」のではなく、「今までの叡智を利用する」人に任せる
「新しい試み、というと若い人はとにかく、既存のものを壊したがります」と、経営者は言った。「もちろん、それはそれでいいことです。しかし、現在のものがその形になっているのは必ず理由があり、先人たちの叡智が込められているのです。だから、単に壊すのではなく、いいとこどりができる若手に任せたいのです」
3.「能力が高い人」ではなく、「仕事が好きでしょうがない人」に任せる
「能力は後からいくらでも鍛えることが出来ます。特に、新しい試みをする過程で皆、驚くほど成長します。」と、社長は言う。
「だから、現時点での能力はあまり参考になりません。とにかく情熱を傾けてくれる人、仕事が好きでしょうがない人にまかせるのが、一番です。」
4.「ベテランに敬意を払う人」に任せる
「明らかにベテランよりも仕事のできる若手はいます」と、その経営者は言う。「しかし、そうだからといってベテランに敬意を払わないのは、人として失礼でしょう。若い人に力を貸したいベテランは大勢います。そういったベテランを巻き込める若手であれば、次世代のリーダーに相応しいと思いませんか?」
5.自分を大きく見せようとしない人に任せる。
「まあ、これは当たり前なんですが…。」と経営者は一息ついて言った。「嘘をつかなかったり、プライドを捨てられない人はダメです。どうせ、いろいろな人の力を借りなければ、新しい試みはうまく行きません。」
この経営者はさらりと話をしていたが、「組織の中で仕事をする時」には大事なことばかりであったように思う。
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(Photo:HONDAウェブサイト http://www.honda.co.jp/automesse/car/01/)