50892860_3b4cf0f7f0_z以前、会話のコツは2つだけ。という記事を書いた。

この記事の趣旨は非常にシンプルで、会話のコツは 相手が話したいことを聞いてあげること、相手が聞きたいことだけを話すこと。

のみであることを紹介した。

 

ところが、この記事をお読みいただいた方から、質問が来た。

会話がうまくなりたいとおもっていたところ、上のコツを見ました。なるほど、と思ったのですが

具体的な方法がわかりません。なにかよい例はないでしょうか。

なるほど、たしかにそうだ。と思ったので、今回は、会話について、もう少し詳細に解説する。ただし、コンサルタントとしての話術なので、友人や知人には多少オーバースペックだと思う。調節して使って欲しい。

 

 

結論から言えば、会話におけるポイントは以下のようになる。

「相手が話したいことを聞く」においては、

「導出」と「反応」の2点。

 

「相手が聞きたいことだけを話す」においては、

相手の話してくれたことに対するお礼としての「発信」と、装飾である「表現」の2点。

 

 

カンタンな会話のフローチャートを下に紹介する。突き詰めれば、会話は単純なループによって成り立っている。これが、会話のキャッチボールである。

 

 

1.相手の興味がある話題を「導出」する。

2.相手の興味ある話題に「反応」する。

3.こちらから返礼として何を「発信」したらよいか考える。

4.「表現」に気をつけて相手に話す。

5.相手の興味がある話題を「導出」する。(以下繰り返し)

 

 

1.のポイント

初対面では特に、相手の興味ゾーンを推し量るのは難しい。しかし、相手の背景(職業、出身、専門分野、購買行動)などがわかっていれば、相手の好みを推測することができる。

 したがって、この場においては「◯◯が好きなんですか?」というのがある程度一般的に使える話術である。

 相手が経営者やビジネスマンであればさらにカンタンで、興味ゾーンが狭まる(業績や事業内容、理念など)ので、導出はやりやすい。

 「かなり業績が良いようですね」

「事業がうまくいっているようですね」

などで、十分導出は可能だ。

 

 

 2.のポイント

導出がうまくいけば、相手は自分の思っていること、興味を持っていることを熱心に話してくれる。

この時に自らもその内容に「興味をもつ」ということが絶対的に重要である。人に興味が無い方が、会話で苦労するのはこの部分であろう。

「興味が持てない」

「自分のやっていることが最上である」

という思い込みは一旦捨て、「相手が何を面白いと思っているか」を全力で探ろう。 

「その、どの当たりが一番アツいんですか?」

「難しいのはどのあたりですか?」

と、相手のやっていることについて自分が「教えてもらう」という気持ちになれれば、もう安心である。

例えば、自分がアイドルに興味がなくても、アイドルについてレクチャーを受ければ、自分も違う世界を覗けるかもしれない、という姿勢が大事だ。 ひと通り聞いたら、

「知りませんでした。おもしろいですね」

「自分ももっと知りたくなりました」 

と、お礼を言おう。

 

 

3,のポイント

相手から贈り物をもらえたのだから、つぎは自分から返礼をしなければならない。といっても、相手の専門分野を知ったかぶるのはご法度だ。どうせ叶うわけはない。

選定すべきは、相手の話と若干関わりがある他分野の話、だ。

 

「アイドル好きな人」⇒ 「ドラマが好きかな?」

「映画好きな人」⇒ 「小説も読むかな?」

「ガジェット好き」⇒ 「アプリの話はどうかな?」

 

など、相手もある程度興味を持ちそうな話を推測する。ただし、これはあくまで仮説なので

「小説とかも読みます?」 

など、仮説を確かめながら、ヒットゾーンを探す。ただし、誤解無きように言っておくと、もともと詳しくないものを「うまく話す」ことはできない。

結局、どんなにうまく話されても、中身の無い話はやはり面白くはない。ドラッカーの言うように、「肉がまずければ、ソースがどれほど良くてもダメ」なのである。

 会話のうまい人は、基本的に興味ゾーンが広く、博識なのである。どんな人ともある程度会話できるように、読書し、ニュースを見、新しいことをいろいろと試そう。

 

 

4.のポイント

せっかく話題がよくても、表現がまずければ場の雰囲気は台無しである。といっても、表現の注意点はシンプルで、「詳しいことが嫌味にならないように話す」のが大事だ。

したがってここで気を遣うのは、「相手の理解の進度」である。

 しばしば専門家が相手の理解の進度を考えずまくしたててしまうケースがあるが、それは良くない。相手の理解の進度に合わせるということは、相手の理解の程度を把握しながら話を進めることである。

会話例を見てみよう。

 

「◯◯はご存じですか?」

「あまり詳しくないです」

「そうですよね、では◯◯は?」(レベルをひとつ下げる)

「いや、それもあまり…」

「すいません、私話が下手くそなもんで。◯◯はどうですか?」(レベルをかなり下げる)

「あ、それなら聞いたことがあります」

「どんなふうに聞きました?」(知識レベルを確認)

「◯◯って聞きました」

「よくご存知ですね!」(受け入れる)

「そうですか?」

「ええ、実はそれに関して◯◯という話があって…興味あります?」(興味を確認)

「聞いてみたいです」

 

注意すべきは、最後の「興味あります?」と聞く部分である。基本的に相手の聞いてみたいこと以外は話さない、というスタイルを貫く。

これがそれなりに手間で、相手を退屈させないためにチョコチョコ確認する必要がある。例えばこう確認する。

 「こんな話おもしろいですか?」(相手の表情を確認)

 

 

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(Photo:Dave Gilbert)