「ない仕事」の作り方「マイブーム」や「ゆるキャラ」という言葉は、昔からあったわけではない。それはある人がつくった言葉である。

つくったのは、先日『「ない仕事」の作り方』という本を出したみうらじゅんという人だ。彼がその本の中でこんなことを言っていた。

「自分探し」をしても、何にもならないのです。そんなことをしているひまがあるのなら、徐々に自分のボンノウを消していき、「自分なくし」をするほうが大切です。自分をなくして初めて、何かが見つかるのです

彼は若い頃、本当に自分のしたい仕事は世の中にはないことに気づいた。どうやら自らつくりださないといけない。しかもそれを「やりたい、やりたい」と叫んだところで、世の中にもともとなかったものなわけで、いとも簡単に「欲しくない」「必要ない」と言われてしまう。

そこで自分を消して、あたかもそれが昔から存在し「流行っているか」のように振る舞うと、人々が自ら興味を持ち、こちらに勝手に目を向けてくれるようになったと。

 

これはビジネスの場面でも言えることである。こちらが売りたい商品があって、もちろん長所も短所も十分すぎるくらい理解している。それをお客様の前ですべてこと細かに説明するとどうなるか、相手は自分が本当に欲しかったものなのかどうかがわからなり、購買意欲を失ってしまうことになり兼ねない。

売る側がやることは、まずは商品を買って欲しいというその思いを一旦消して、相手が求めていることをひたすら聞く。そしてそれに答える。それを繰り返す。やがて、相手は「これが私が欲しかったものだった」と気づく。そうすれば、それは勝手に売れていく。

そんな経験をした人多いはずだ。