「ロジカルシンキング」という技術がある。文字通り、「論理的な思考」と訳せるが、自分が仕える上司によっては、「論理的思考をすること」が求められる。
人によっては、「オマエはロジカルじゃない」であるとか、「もっと論理的に説明しろ」と結構厳しい言葉をもらうこともある。
そんな時、「ああ、オレってロジカルじゃないんだな、でもそういった力って、どうやったら身につくんだろう」と悩む人も多いのではないだろうか。
上の写真に載せたような専門書を読むと、ロジック・ツリーだとか、MECEだとか、ロジカルシンキングに関する用語が数多く出てくるが、なんとなくピンとこない。
そんな時、どうしたら良いのだろうか。
実は、極めてカンタンだ。
まず、「論理」という言葉について考えてみる。
難しい話はさておき、論理とは「考える時のやり方」の一つである。
最もよく知られた論理の一つは、「三段論法」である。例えば、
人間ならば死ぬ。(BならばC)
ソクラテスは人間である(AならばB)
よって、ソクラテスならば、死ぬ(よってAならばC)
といった具合だ。
これを見て、「当たり前だ」と思った人は、論理的な人だ。
「当たり前」と思わなかった人は、残念ながら別の世界の住人であり、人間の論理を超越したところに住んでいるので、何もアドバイスすることはない。そのまま自分を信じて突き進んで欲しい。
さて、「当たり前」と思った人は、こちら側の住人である。
ホンの少し注意深ければ、上司に対して、論理的に説明することも、もちろん出来る。
例えを挙げよう。自分で企画を考えるとする。
論理を組み立てる時、まずは、どこから出発すべきか?
まずは、「結論」を決める必要がある。
◯◯◯は、◯◯◯である。(◯◯◯するべきだ、でも良い)
これを書き出してみる。ここで注意すべきは、必ず書き出してみることだ。書かないと、考えをまとめることは極めて難しい。
結論が決まったら、つぎは
「この結論は、誰にとってもアタリマエのことなのか?」を考える。
具体的には、「上司にとっても」「自分の両親にとっても」「中学生にとっても」「待ちゆく人にとっても」当たり前なのか?を考える。
当たり前なら、そのまま上司に説明すればよい。
しかし、大抵の場合、当たり前ではない。上司とあなたは経験も異なるし、考え方も違う。したがって、ここが「当たり前」でないと、相手が納得しない。したがって、「この結論は論理的でない」と判断されてしまう。
したがって、次に考えるべきは、
「この結論が当たり前であるためには、どんな証拠が必要か?」を考える。
この証拠を集める作業は、手間がかかる。しかし、「納得してもらうための証拠」がなければ、結論は相手に届かない。
証拠が重要である。
ビジネスにおいて、「論理的である」ために必要なことは、上のたった3つだけだ。
例えば、結論を「売上を向上させるためには、Googleのリスティング広告を強化すべきだ」とする。
これは、誰にとっても当たり前なのだろうか?
おそらくそうではない。
では、どんな証拠が必要か?
1.広告をすると、売上が向上する、という証拠
2.数ある広告の中でも特にGoogleのリスティング広告をすると良い、という証拠
こういった証拠を集めるのはかなり面倒である。実際にはそんなデータもないし、ビジネスは状況が異なれば、結果が異なることが多い。
広告費をかけても、売上が伸びるとは限らないし、「リスティング広告」が良いという保証もない。
だから、ビジネスにおいては「完全に正解」という証拠を提出することは、殆どの場合できない。
また、情報を集める中で、「結論が間違っている」という結果に至ることもある。
しかし、「証拠がない」よりは、「正解かどうかは完全に判断できないが、判断する材料はある」法が遥かに良い。
広告をすると、売上が向上するという証拠はないが、広告と、売上の相関を調べた研究は世の中に数多く存在する。
こういう情報を、「自分の出した結論」と一緒に上司に見せることだ。
そういった情報を総合的に判断して、最終的に決定するのは「上司」である。
上司は、「提供された情報」にたいして、「決定を行う」権限を持っている。この決定は、つねに「正解がわからない中での決定」である。
確度の高い決定をするためには、上司がどのような情報を欲しがっているか?上司の身になってみればわかるはずだ。
ロジカルになるのは難しくない。
結論を決めること。
その結論が当たり前かどうか考えること。
当たり前でない場合、証拠を探すこと。
正解ズバリの証拠がなければ、上司が判断出来るだけの情報を集めること
それだけである。