a0002_011243ライフネット生命会長の出口氏が、日本の低い生産性を嘆く、次のような記事を書いていた。

 

人口は減少、生産性は先進国で“ひとり負け” わが国が置かれている現実を直視しよう

ところで、生産年齢人口が急激に落ち込むケースでは、一般論としては、生産性の向上を図って倍返しをする(その穴を埋める)他に挽回の方法はない。そこで、生産性の国際比較をすると次表の通り、日米格差は近年大きく開き、主要先進諸国からも引き離されつつあるという体たらくである。”

 

この記事によれば、生産人口も減り、労働生産性も落ち込んで「日本はどうしようもない」と見方をしている。

 

しかしちょっとまってほしい。本当に日本は絶望的な状態なのだろうか。

上の記事のグラフを見ると、労働生産性(就業者数ベース)とある。そこで、労働生産性の定義を見ててみると、

労働生産性 = 名目GDP/就業者数

ということがわかる。

 

まず、「名目GDP」は、物価の変動の影響を加味していない。名目GDPを使うことには議論が有り、こちらの資料では、「米国と日本とそれ程遜色はない」(下の画像はリンク先参照)と言っている。

econo buo.la.coocan.jp jinji jinji071115.pdf

 

また、就業者数についても疑問がある。日本は諸外国に比べて、失業率が低く抑えられている。失業率が高ければ、就業者数は少なく、従って労働生産性は高く出る。生産性を高めたいからといって、失業率を犠牲にするのは本末転倒であろう。

以上のようなことを加味すると、一律に「日本の生産性は低い」と煽り立てることはあまり良いことではないと感じる。

 

たしかに生産性が低いことは問題であり、生産性を高く保つことは重要である。が、数字の受け取り方は人による。「生産性」というたかだか一つの指標に過剰に反応するのもいかがなものか、と思うのだが、どうだろう。