今から30年前、通信機器といえば家庭には電話、ラジオ、テレビしか無かった。これらがあれば、ほとんどのテレコミュニケーションは用が足りた。そんなに他の人とつながる必要も感じることはなかったし、それほど大量の情報を得る必要性も無かった。
大きくその常識が変わったのは、携帯電話、PCの出現、そしてインターネット網の出現だ。人々はより多くの情報を求め、より多くのつながりを求める。
おそらくこれは本能なのだろう。個別に分断されていた個人が、ひとつの大きな生物になるかのごとく、常に他人と接続し、意思疎通をするようになる。
そしてスマートフォンの登場は更に多くの人をより長い時間、ネットワークに繋ぎ止める。電車の中を見てみれば一目瞭然だ。皆、ソーシャルメディアに夢中になり、ニュースを手に入れ、ネットワークを介してゲームを楽しみ、友達とひっきりなしに通信する。少し歩いて写真をとり、友だちとそれを共有する。
この流れを本能が突き動かしているとすれば、さらに人はつながりを求める。
GoogleGlassや、iwatchは、そうした流れの中の一つなのだろう。メガネや時計は最も身近にあるもののひとつであり、機器として、電話よりもアクセシビリティは高い。電話は片手を使わなくてはいけないが、メガネや時計は両手が空くからだ。そして、アクセシビリティの高い機器を持てば、もっと人は繋がれるようになる。
従って、スマートフォンの次に来るものは、よりネットワークとの接続を容易にするデバイス。メガネ、時計、靴、帽子、指輪、衣服、コンタクトレンズ、ピアス、ネックレス、そういった「身に着けているもの」の中から出てくる可能性が高い。
他者とこれまで以上につながるデバイス。映画のように、直接人間の脳が通信する日も近いのかもしれない。