「私はね、ダメな人のために会社をやってるんです」と、その経営者は語った。
「ダメな人」ですか?いや、いるじゃないですか。どの会社に行っても「出来ない奴」の烙印を押されてしまうような人。わたしも「ダメな人」だったから、気持ちが分かるんですよ。
遅刻する。
約束を守らない。
すぐ怒る。
飽きっぽい。
怠け者。
まあ、できない奴らですよ。でもね、そういう人たちの場所を作るのも、私の役目じゃないかと思いましてね。その場合、必要なのは上司じゃなくて、「親」みたいな人なんですね。
当然、普通の企業にお勤めの大人で分別のある人に「親」はもう必要ありません。そういう人なら権利を主張するのは自由です。
でもうちにいる人の大半はそうじゃありません。まだ親が必要な人達です。叱られたり、しつけされたり、そういったことをきちんと施されてないのです。だから、社会に適応できない。どこへ行っても「いらない人」扱いです。
それは、彼らにとっても、社会にとっても不幸なことです。
もちろん、彼らの中にも反発する人もいますよ。
「うるさく言うな」っていうんです。
でも、「そういうことは、やるべきことをやってから言いなさい」と、諭します。ときには「お前なんか出て行け」と怒鳴る時もあります。いや、出て行かれたら困るんですけどね。
それこそ、朝、昼、晩を問わず、語りかけなくてはいけません。
最近、ブラック企業だ何だと、騒がれてますが、ウチも「ブラック」かも知れないです。でも、彼らは皆、行き場がなくて私のところへやって来ました。
それでもやめてしまう人もいますが、きちんと仕事ができるようになる人もいます。
そうなったら彼らには「ウチなんかやめて、他の給料の良い会社に行けばいい」と、言ってやるんです。でも「社長と一緒にやりたい」という人もいるんです。嬉しいじゃないですか。
会社というと、やれ生産性だ、効率だ、言いますよね。「できる人」にならなきゃ生き残れない。
私も全くそのとおりだと思います。
でもね敢えて言いますが「下の人」だって、社会に参画しなきゃいけない。政府からお金をもらって暮らすのもいいですけど、働きたい人だっているんです。
そんな人に最初から生産性も効率もないです。「まじめに働く」ってことをまず教えなきゃいけない。それが親ってもんです。
グローバル化している、って言いますね。そりゃ、その流れは止められないでしょう。でも「まじめに仕事する人」は、いつの世でも必要なんですよ。
私はねその「きちんとやる」という価値観を、大人になれなかった人に教えているんです。
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