mapつい先日、英国のエコノミスト誌が、コンサルティング会社の業績について記事を載せた。経営コンサルティング業界のトップであるマッキンゼー・アンド・カンパニー、ベイン・アンド・カンパニー、そして、ボストン・コンサルティング・グループの業績について詳しく掲載されている。

これによれば、

 

”コンサルティング企業には微笑みたくなる材料が山ほどある。戦略コンサルティングのトップ企業である前述の3社はここ数年、世界的な経済の停滞の中でも2ケタ成長を続けている”

 

不況に関係なく業績を伸ばしているということは、経営の支援を行う会社の面目躍如というところだろう。

代わって日本はどうだろうか?「海外と日本は違うよ」という話も聞こえてきそうだが、「船井総研」の業績を見ると前前期までは苦戦していたものの、前期、今期と善戦している。環境が良くなってきたこともあるのだろうが、努力が実を結びつつあるのかもしれない。

 

 

一体なぜ、コンサルティング会社が伸びているのだろうか?エコノミスト誌の分析では、

 

”クライアントを混乱させるような大きな時代の流れは、賢いコンサルティング企業に大きな儲けをもたらす。大量の条項から成るバラク・オバマ大統領の医療保険制度改革は医療分野のコンサルティングを活気づかせている。企業は面倒な文書を読むよりカネを出すことを選ぶものだ。金融規制を改革するドッド・フランク法も金融分野のコンサルティングに同じ効果をもたらしている。エネルギー、技術分野も人気だ。”

 

とある。要は”専門知識”にカネを払っているということだ。さらに、

 

”今のコンサルタントはスライドショーを見せるだけでは、多額の報酬を手にすることはできない。トップを走る3社でさえ、今や売り上げの大部分を得ているのは、構想の実施や、クライアント企業の内部プロセスに関する改善手法の考案など、従来は「戦略コンサルティング」と見なされていなかった任務だ。”

”コンサルタントたちは長期契約を目指す前に、短期間で分かりやすい結果が出る案件で信頼を勝ち取ろうと考えている。”

 

とある。「戦略」では食えないので、短期間でわかりやすい結果を出し、その後に長期契約が可能な「プロセスの実施、改善」で食べているということがわかる。

 

 

このような仕事をとるために、コンサルティング会社はどのような投資をしているのか?一つは人に、一つはソフトである。

 

”クライアントは単なる頭脳だけでなく専門性も求めるようになっている。特にマッキンゼーやBCGでは、科学者や医師、産業分野で経験を持つ中堅の採用を増やし、経営学修士(MBA)の割合を減らしている”

”マッキンゼーはプロプライエタリデータに重点的に投資している。同社のトップ、ドミニク・バートン氏は「今後10年の間に、おむつが最も売れそうな50都市を知りたい場合、ボタン1つで分かるようになっているはずだ」と話す。マッキンゼーは「知識開発」に年間4億ドルを投じており、ここからコンサルタントに対し「大学にも似た機能」を提供している”

 

インターネットにより、誰にでも手に入るデータには価値がない。差別化するのであれば「自分たちしか有していない人財」および「自分たちしか有していないデータ」だという考え方がハッキリわかる。

コンサルティング会社も変化している。何時の世も、専門家には仕事があるのだ。