昔の会社でも、何か問題が起きた時、他の人のせいにせず、常に原因は自分にあると考えよ、という教育が社内でおこなわれていた。
「自分に原因がある」
「改めなければならない」
「責任を取らなければならない」
そういう心構えで仕事にのぞむことは、確かに素晴らしいことなのだろうと思う。
だが、常に自分に原因があるかのように振る舞うことの負の側面も、私は見た。
第一に「本当にその人には責任がない」時もある。全てを自分のせいと思い込んでしまうことは、思考停止でもあり、一種の怠惰である。
営業会社で「行動量が足りないから売れないんだ!」と営業担当を責める上司がいる。
外食で「顧客に対する誠意が足りないから、来店数が落ちるんだ」と店長を責める上司がいる。
素直な彼らは、自分を責める。「オレはダメなやつだ。努力が足りない」と。しかし、それは正しい時もあるが、100%正しいことは少ない。根本的に商品がダメなケースもあるし、味が悪ければ客は来ない。
第二に、一生懸命やったにも関わらず、結果が出ない人も数多くいる。
「自分が頑張っていないから悪いんです」
と彼らは言うが、彼らは疲れてしまっている。自分の責任としても、これ以上の進歩は見られない。進歩が見られないところに責任を追求すると、人は壊れる。
先日、ある経営者の方と話をした時、自己責任についての話が出た。
彼はこのように言った。
「事業や会社がうまく行かなくても自分の責任を気にしすぎてはダメですよ」
「どうしてですか?むしろ人のせいにするな、と教わりましたが…」
「自分を許すことは大事なのです」
「自分を甘やかすことになりませんか?」
「自分を責める人は、恐ろしいことに、同じように人のことを責めるようになります。「なんでオレがこれだけ頑張っているのに、あいつは遊んでるんだ」?と。心の強い人でも、徐々にそうなります。」
自分を責める人は、他者に対する寛容さを失いやすい、と彼は言う。
もちろん、何も考えず責任を他者に押し付けるような真似は論外だが、ハナから自分の責任とする考え方もまた、等しく危険である。
「原因はどこにあるのか?」は、常に冷静に考察されなければならない。
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