ネットワーク科学の第一人者である、アルバート=ラズロ・バラバシは、その著作Linked:The new science of networks(邦題:新ネットワーク思考)の中で、面白い科学的事実に触れている。
彼は、インターネットを始めとした複雑なネットワークは、べき法則に従うことを深耕し、その性質を明らかにした人物であるが、著作の中で面白いデータを引用してくれているので、ここで紹介したい。
最も興味深いのは、「もし、就職・転職を考えていて、職を探しているのなら、親しい友人ではなく、あまり親しくない知人に当たること」と言っていることだ。
この研究は、マーク・グラノヴェッターというハーバード大学の大学院生が博士論文の中で著したものだが、テーマは
「人はいかにして職を得るのか」
というものだった。
”人々はいかにしてネットワークを作り、社会的絆を利用して職を得るのだろうか?彼は、それを調べるために、何十人もの管理職や専門職の人たちにインタビューして歩き、今の職を得るために力になってくれたのは誰だったかを尋ねた。今の職を得たのは友だちのおかげなのだろうか?”
”返事はいつも決まっていた。力になってくれたのは親しい友達ではなく、ちょっとした知り合いだというのだ。”
それは論文として発表されたが、暫く後にセンセーションをまきおこし、1986年には、「カレント・コンテンツ(学術雑誌目次情報)」の選ぶ、「サイテーション・クラシック(頻繁に引用される論文)」となったという。
論文のタイトルは、「弱い絆の強さ」だ。さらに、
”グラノヴェッターは「弱い絆の強さ」の中で、一見すると非常識な事を主張している。職を見つけたり、情報を得たり、レストランを開業したり、流行を生み出したりすることに関する限り、強い友人関係よりも、弱い社会的絆のほうが重要だというのである。”
ウェブサイトの立ち上げや、営業にも言える法則である。一部の人と緊密に付き合うよりも、広く浅く、いろいろな人と知り合いになるべし。