テレアポ、という営業の手段がある。飛び込み営業と並ぶ、「きつい仕事」の代名詞にもなる仕事だ。「営業 テレアポ」というキーワードで検索をしてみれば、日々のノルマで悩んでいる営業担当者の声を拾うのは難しくない。
さて、個人的に最近、「テレアポ」についての悩みを聞く機会が多いので、ここに書き記すことにする。
一方、「テレアポ 迷惑」などのキーワードで調べてみると、これもまた多くの人が「テレアポを迷惑だ」と感じている。特に不動産や証券の勧誘でこの手の話題が多い。
なぜ、このように多くの人が「テレアポを迷惑だ」と感じているにもかかわらず、企業はテレアポをやり続けるのだろうか?
答は単純だ。要は、「テレアポは費用対効果が高い」のである。飛び込み営業をしても、一日フルに使って回れる会社はせいぜい20から30社。それだけ回ってもおそらく実際に集められる名刺は平均して1枚から2枚程度だろう。
それに対して、テレアポは100件電話をかけたとしても実際に使う時間は1時間から2時間程度。慣れてくればもっと短い時間で架けられる。そして、得られる数字は飛び込みとそう変わりない。
「インターネットから引き合いがあればテレアポ不要じゃないか」という人もいるが、引き合いだけでは競争に勝てないし、ノルマをこなすことは出来ない。もっと新規の顧客を、もっと売上を、というのが企業の本音だ。
したがって、「新規の顧客を開拓する」ためにテレアポを用いることは、企業にとってある意味では合理的な選択である。
しかし、「電話を受ける側」にたってみれば、「迷惑この上ない」時も多いだろう。忙しい時にセールスの電話などを受けているヒマはないのだ。テレアポをやったことのある人ならば、一度は罵声を浴びせられた事があるはずだ。
テレアポを行う企業はいつもテレアポをこのように正当化する。
「うちの商品はすごく良いものだ。だから、テレアポをして皆に知らせなければいけない。知った人に必ず役に立つのだから、良いことをしているのだ」と。
ハッキリ言えばそれは詭弁である。テレアポの成功率は大体1%以下。良くても3%程度だ。100人中97人にとっては単なる迷惑電話であり、「二度とかけてくるな」という人はアポに応じてくれる人の10倍はいる。
「迷惑メール」を受け取ったことのある人はいるだろうか?メールアドレスを持っていれば、殆どの人は迷惑メールを受け取ったことがあるだろう。電話もメールも同じである。役に立たない人にとっては、迷惑は迷惑。そこはごまかせない。
残念ながら、如何に理由をつけようと「テレアポ」は間違いなく殆どの人にとって、迷惑行為だ。たまに「知らせてくれてよかった」という人も現れる。しかし、97%の人にとっては、「迷惑行為」と言わざるを得ない。
それでもテレアポをやり続けますか?
「それでもやります」という営業マンの人。あなたは素晴らしい根性を持っている。仕事を頑張ることは尊いことだ。そこは誰もが認めることだろう。
だが、「販売を不要にすることがマーケティングの理想」であるということを考えれば、あなたの会社は「売上を追いかけすぎている」か、「マーケティング力が弱い」か、もしくはその両方だ。
いずれも会社にとっては好ましくない状況である。一刻も早く、「テレアポをしなくても、会社が成長する」ように、頑張って欲しい。あなたのその根性は、テレアポだけでなく、会社を変えるために使えるはずだ。