面接で「うちの会社でやりたいことは何ですか?」と聞く人事の担当者は多い。また、人事評価の面談などで「やりたいことは何か?」と聞く上司も多い。
でも、これって、何を聞きたいのだろうか?
多分、この質問をされた人はこう思うのではないだろうか。
- やりたいことを言えば、本当にやらせてくれるのか?
- やりたいことって、なんだろう?この人は、何を言わせたいんだろう?
- やりたいことなんて、別に無い。
- まず、あなたが「やってほしいこと」を言えよ。そしたら、答えるから。
「やりたいことはなんですか?」とは、究極に難しい質問だ。
殆どの人は、「やりたいことなど、わからない」のだから。敢えて言えば、本音に近いのは「御社で業務としていることなら、文句を言わずに働きます」だろう。もちろん、自発性がないと判断される回答だから、そんなふうに回答はしない。
だから、立場が対等でない場合、この質問を問われた側は相手が求めていそうな解答を必死に探す。
「御社の◯◯という活動に惹かれました。自分が今までやってきたことと関連があるので・・・」
「御社の経営方針である◯◯をやりたいと思っています。」
「今の御社の経営計画が打ち出している◯◯に共感しています・・・」
模範解答はこんな所だろう。
でも、これを聞いて、どうするのだろう?「ウチの会社のことをよく調べたね」とでも言いたいのだろうか。
会社において、「やりたいこと」が最初からやれることなど殆ど無い。しかも、いつ何時「自分が望まなくてもやらなくてはならない仕事」を任されるかわからない。そして、入社を希望する人や、部下はそれを良く知っている。
本当にやりたいことを出来る会社であれば、「やりたいことは何か?」という質問に回答できなくてはダメだ。
しかし、そうでないならば、いっその事、「ウチの会社ではこれをやってもらうが、質問はあるか?」であるとか、「来期はこれをやってもらうが、なにか意見はあるか?」の方がよっぽど良い面談になるのではないかと思ってしまう。