目標設定をする会社は多いが、通常の中小企業であれば「高すぎる目標」というものが普通に存在する。大体会社の2割程度の人しか達成していない目標だ。
目標設定があまりにも高すぎると、皆は目標に対する執着を失うのでデメリットは大きいのだが、何故かこの手の目標設定は減らない。
そこで、「なぜ高すぎる目標は減らないのか?」について考察すると、これは一種の「部分最適」による弊害だとわかる。つまり、以下のようのステップで会社の目標が高く設定されすぎる。
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1.会社全体の目標を達成するためには、各個人が与えられた目標をクリアしなければならないと当然のことのように考えている。
2.その結果、各個人に会社から与えられた目標が分割して配分される
3.ところが人によっては目標が高すぎたり、低すぎたりする
4.目標が高すぎる人は、諦めてしまって達成率が50%~70%程度となってしまう
5.目標が低すぎる人は、目標を達成すると手を抜いてそれ以上の数字を獲得しようとしない。結果として上限は目標の100%程度になる
6.会社全体が目標を達成できない
7.次期に、会社はセーフティーを確保するため、真に必要な数字よりも多めの数字を社員に伝えるようになる
8.ますます目標が高くなる
上のような悪循環に陥っている企業は少なくない。
経営者が「自分の給料の◯倍は稼がなくては駄目だ」と言っているような企業では特に顕著だ。
何が間違っているのだろうか?
これは仮定に間違いがある。つまり、1.に間違いがあるということだ。
つまり、会社全体の目標を達成するためには、「個人が全て、目標を達成し無くてはならない」という思い込みを排除することだ。具体的には、
「会社が欲しい数字から個人の目標をつくる」
のではなく、「市場の需要と、個人の力量から算出した目標をクリアしようとする」である。
従って、個人別に目標は異なっていて当たり前であるし、達成率は基本的に100%になるような目標しか設定されない。もし100%にならなければ、それは市場の需要が減少しているか、もしくは個人の力量を見誤っているということだ。
「大きな数字を目標として設定すれば人は頑張る」は迷信であり、これがマネジメント上大きな障害となっている会社は多い。改めて「市場」を中心とした目標設定を行っているか問いかける必要がある。