好き嫌いで人事よく聞かれるセリフですが、この言葉、どう取りますか?この言葉、言っている人が誰かによって、取られ方が変わります。

 

一般社員、新人が言っていた場合の周りの反応

⇒もう少し我慢して働いたみたらどうだ?辛抱が足りないんじゃないか?

 

管理職が言っていた場合の周りの反応

⇒マネジメント能力が足りないんじゃないか?合う人ばかりが会社にいるわけじゃないだろう。もっと部下の話を聞きなさい。

 

社長が言っていた場合の周りの反応

⇒やっぱり、能力じゃなくて社員の基準は「合う合わない」ですよね!賛成です!

 

 

ということで、同じことを言っても、単なる「ワガママ」と取られることもあれば、「経営の貴重な含蓄」として取られる場合もある。

 

 

結局、「経営書」や、「ビジネス理論」、あるいは、「経営コンサルタント」が胡散臭く、一段下に見られるのは、このような理由からだろう。「結局、権力者に媚びているだけじゃないか」と。

これは実際その通りで、「経済学」や「物理学」にくらべて「経営学」が低く見られている(ノーベル経営学賞というものがないことからも分かる通り)のは、結局のところ経営学は「後付け」であり、科学的に実証された理論よりも、実際に成功した(と見られている)経営者の発言が真であると捉えられる事が多いからだろう。

 

 

以前執筆した下のリンク記事にも書いたが、結局のところ、経営学においては未だに「何を言ったか」よりも「誰が言ったか」が重要視される世界だからだ。

なぜ「誰が言ったか」は、「何を言ったか」より重視されるのか

ただ、これを否定するつもりはないが、問題は多い。「誰が言ったか」が重要視される世界では、トップの間違いを訂正することが難しいからだ。

 

 

いずれにせよ、トップが自分の会社で「好き嫌い」や「合う合わない」を重要視すること自体は勝手にやればよいのだが、これをあたかも「経営の理論である」かのごとく受け取って、「自分の会社でも」と安易に導入することは絶対にやめるべきだ。

大体の場合、人は「本に書いてあることや、人から聞いた話の中で、自分にとって都合の良い部分」しか覚えていないのであるから。