ディベートの基本が面白いほど身につく本―論理力・説得力・対人力が高まるトレーニング (知りたいことがすぐわかる)私は議論は好きではない。アイデアを出し合うのは好きだが、議論はできるだけ参加したくない。

議論の一形態である「ディベート」の訓練を学校で行うところもある。ゲームとして使う分にはよいが、実生活でそれを使うことは慎むべきと考える。

 

なぜなら、ひとつの物事の「正しさ」について、明らかに「正誤がわかる」ものについては、議論の必要がないし、逆に「正誤」を明らかにしにくい価値観のようなものについてはそれを争うことは時間の無駄だからだ。

価値観は議論によってそう簡単に変化するものではない上、ドラッカーの言うところの「人に価値観の転換を求めるとき、それはその人に対して全面降伏を要求する」ことになり、議論に買っても負けても、それは後に大きな禍根を残すことになる。

 

ただ、自分がそう思っていても「議論好き」は存在する。しかも、意見を出し合うのではなく、「勝ち負けを争う」のが好きな人がいる。

さて、そういった人々は往々にして、「議論のテクニック」を知っている。だから、こちらとしてはそういった方法を知り、それを用いる人を頑張って適当にいなそう。勝敗をつける必要はない。

 

 

以下に、実際によく使われる議論のテクニックを紹介する。

 

1.根拠の無い意見は、述べてはいけないと、圧力をかける

議論好きのよく使うテクニックである。根拠がなければ、その意見には「価値がない」と決めつけるやり方だ。しかし、根拠の無い意見に価値がない、という考え方にもまた根拠はない。仮説をぶつけあう事にも価値があり、それもまた議論の一つの形態なのだから。

 

2.権威を利用する

◯◯というエライ人がそれを言っていた。だからそれを認めるべきである、と圧力をかけるやり方。とくに社内政治の駆け引きに利用される。エライ人を頻繁に持ちだされると、議論にならない。

 

3.しつこく「なぜ?」と聞くわりには、自分の解釈は言わない。

◯◯と思います。 ⇒ 「なぜ?」 ⇒ ◯◯だからです。 ⇒ 「なぜ?」 ⇒ ◯◯と思うからです。 ⇒ 「なぜ?」 ⇒ ・・・(しつこいな。アンタはどう思ってるんだよ。自分の意見を言えよ。)

議論に負けないためには、喋らないことが一番だ。

 

4.「こういうケースも有る」といって、レアケースを示す

レアケースをあげて、議論を撹乱する。「こういう場合は?」「この場合は?」と、うるさい。すべてのケースを検証できない限り、議論には負けない。

 

5,前提条件を攻撃してくる

そもそも「◯◯」っていう前提のもとでの話だよね。それ、前提がおかしいよ。と言ってくる。

前提を攻撃するのは高等テクニックである。「そうかなあ?ゴメン」で逃げてしまおう。議論しても不毛である。

 

6.結果を出していない奴が言うな

とりあえず否定したい人の常套句。相手が望むのは支配である。

 

概ね以上のような言い方が、勝ちたい人がよく使うやり方である。こういった方法を駆使されると、議論が長引くため、恐ろしく時間が無駄になる。

素直に教えを請うスタイルを見せ、早めに逃げよう。