就職活動で自分の納得の行く企業に内定をもらえなかった学生が、自主的に「留年」を選ぶケースが増えているという。
不本意な内定より留年…「卒業せず」10万人超
”卒業学年で留年した学生が、今春は10万人を超えて6人に1人に上ることが、読売新聞の「大学の実力」調査でわかった。10万人を超えたのは2年ぶりで、大学側によると、不本意な内定を断り、あえて留年して「納得できる道」を目指す学生が目立ってきているという。景気が上向いて来たことが背景にあるようだ。
調査には全国の89%の大学が回答した。それによると、2013年5月段階で卒業学年に在籍していた学生のうち、今春卒業しなかったのは10万2810人で全体の16・3%。昨年より3445人増えた。大学の就職担当者らの分析によると、留年の理由は卒業単位不足のほか、企業の内定を得られなかった就職留年が多いが、今春は、内定を辞退して留年を選ぶ学生が目立つという。”(読売新聞)
この記事10万人が就職留年したように誤認しやすいが、実態としてどの程度の人が就職留年したのかは書いていない。だから、「不本意な内定で留年」はおそらく多数派ではないだろう。
だが、たしかに昔から「敢えて留年」という人は存在しており、最近増えているという大学の声もある。
実際、希望の会社に内定をもらえなかった学生には選択肢が3つある。
1.希望ではなかった会社に行き、働く。
2.卒業して、既卒として再度就職活動する
3.留年して、もう一度新卒として就職活動する
自分だったら、どれを選ぶだろう?と考えた時、経済的に余裕があれば、3を選ぶかもしれないと思った。
なぜなら、会社と学校を同じように考えた時に、「浪人する」という選択肢は特に珍しいものではないからだ。希望の学校に入れなかったときは、もう一年勉強してトライする。
だが、実際に働いてみると、1の選択肢がもっとも良いと感じる。理由としては3つある。
1.入学試験と異なり、努力が入社に直結しない。極端な話、面接官とフィーリングが合えば合格する。合わなければいくら優秀でも採ってもらえない。新卒でなければ入れない会社もあるが、「留年した」という事実がむしろ不利になることもある。
2.早く働いて「転職」を狙ったほうが良い。最近では若手であれば未経験でも歓迎される傾向にある。
3.入社前には会社の実態が殆どわかっていない。憧れの企業に入ったが合わなかった、ということは頻繁にある。また、不本意ながら入った会社でも、「やってみたら面白かった」と言う人も多い。
もちろんどの進路を選択するかは自由だし、就職浪人に対して差別的な扱いをするようなことは謹んだほうが良いと思うが、「就職浪人」してまで行く価値のある会社というのは、一体あるのだろうか?
内田樹氏のこの言葉が、的を射ていると思う。
”皆さんは就職を考え始めた、『自分に何が向いているのか』『自分は何がしたいのか』と考えたと思います。
でも、それが大間違い。
自分がどんな仕事に適性があるかなんて、誰にも分からないからです。
適性というのはやってみて、あとからわかる。”(Blogos)