FrameBreaking-1812情報技術は、人間の職を奪う。肉体労働は機械に取って代わり、一部のクリエイティブな仕事だけが残る。したがって貧富の差は拡大する。最近、このような話がさも「常識」であるかのように語られる。「本当にそうなのかなあ?」と思ったので微力ながら一石を投じてみました。

この「常識」を擁護する人々の論調は次の通り。

コンピュータの発達は人間の雇用を脅かす、「ITが加速度的に発達して人間の労働を置きかえるため、つねに過剰雇用が生まれる」からである。

さらに、そのような事態へ対応するために、「コンピュータで置きかえられない、クリエイティブな仕事、もしくは肉体労働に労働者を移動しなければならない」、したがってクリエイティブな仕事の賃金が相対的に高まる一方、コンピュータで置きかえられる肉体労働の賃金は下がる。したがって、貧富の差は拡大する。

今、旧態依然とした仕事のやり方をしている皆さん、ヤバイですよ」と言われる理由だ。「労働の二極化に沿った採用をすればいい」という人もいる。

 

いやいや、そんな社会の二極化を認めちゃいけないでしょ。そんな世の中住みたくないですよ。

そういえば、200年前にも同じ事があったよね。で、機械が嫌いな人達が、「職を奪うな」って暴れてました。

 

でも、結果的に世の中は産業革命によるテクノロジーの進化で「中産階級が増えた」らしいですよ。上の「常識」と逆のことが起きたんです。二極化なんて、とんでもない。

 

だってそうでしょう。機械は万能じゃありません。同じ事を繰り返すのは得意ですが、変化に人間以上に弱いんです。

コーヒーメーカーを使っていた人が、紅茶を飲みたくなったからといって機械にコーヒー豆の代わりに茶葉を入れたら壊れてしまう。

さらに、機械にはメンテナンスも必要です。調子悪くなっても、自分で自分を直せない。

 

だから、現場では変化に対応するため「生産管理」などの事務職や「機械技師」などのテクノロジストが新しい職業として増えたんです。

 

コンピュータも同じです。一度できたプログラムを変更するのは恐ろしく手間がかかる。他の人が書いたプログラムであれば尚更です。コンピュータをきちんと扱うには、不断のメンテナンスが必要なんです。かっこいいこと言っても結局、コンピュータはまだ、自分のプログラムの欠陥を自分で直せない。

 

だから、今後も世界は二極化しない。求められるスキルが変化するだけです。

 

機織り職人はほとんどいなくなってしまいましたが、いまは繊維の高分子の専門家が必要とされている

銀行マンは不要になり、金融システムを構築するプログラマが必要となる。

 

でも、金融プログラマや、高分子なんて随分難しそう・・・と思う人もいるかもしれません。

でもそんなことないと思います。機織り職人として一人前になるにも、やっぱり5年10年かかると思うんです。

多分、どんな職業でも、1人前になるには、同じくらいの時間がかかるんじゃないでしょうか。

 

だから2極化はしない、むしろ新しい職業をたくさん作り出すことによって、ITは、中産階級を増やすことに大きく貢献するに違いない、って思うんです。