94a9bc01eb6ad11e64ea00ae5e1a88e0_s忘年会シーズンである。これから年末に向けて、顧客や社内で飲み会などをする機会も増えるだろう。

このシーズンになるといつも思い出すことがある。

 

職業柄、様々な会社の方々と飲み食いをすることが多かった私は、飲み会において2通りの人がいることを知った。

1つは、「自腹で部下と飲み食いをする人」

もう1つは、「会社の経費で部下と飲み食いをする人」だ。

もちろん、会社から予算を与えられ、「部下とコミュニケーションをはかるように」と言われ、会社の経費で飲み食いをしている人も多いだろう。

しかし、「自腹で」という人は、たとえ予算があったとしても「あえて自腹」という人も数多く見かけた。

 

断っておくが、私は「自腹がエライ」とはこれっぽっちも思っていない。価値観は人それぞれだし、会社がわざわざ予算を割り当ててくれているのにそれを使わないのは不合理と言っても良い。

しかし、観察していると「お金を出してもらった部下」の反応は明らかに違っていた。

 

会社のカネで飲み食いをしている上司に付き合っている部下は、「仕事」と思って付き合っている。

自腹の上司に付き合っている部下は、「上司の個人的な依頼」と思って付き合っている。

この違いは大きい。

私は、「ありがとうございます」と言って上司と別れた後、部下の人たちが「なんだ、会社持ちなんだ」と言っていたのをそれこそ数えきれないほど見てきた。せっかく上司から誘ってもらったのに、期待をかけてもらっていると思っていたのに、「お金は会社持ち」では、興ざめ、といったところなのだろう。

 

人は正直なもので、「お金」については、非常に記憶力が良いところがある。

「借りたカネは忘れないうちにすぐに返せ」というが、借りたほうはすぐ忘れてしまっても、貸した方はずっと覚えている。「カネではない」というが、カネのことは皆よく覚えている。

それと同じで、「あの人はよくごちそうしてくれた、しかも自腹で」という人と、「あの人はよくごちそうしてくれたが、会社のカネだった」という人は、鮮明に記憶されているものなのだ。

 

 

あくまで仕事、ビジネスの付き合いと割り切って、「社員と行くときは仕事、だから費用は会社持ち」というのもいいだろう。

しかし、「人対人」の付き合いを求めるのであれば、多くの人の反応を見る限りでは、「自腹」は避けて通れないのかもしれない。上司は懐具合も寒くなる冬なのだ。

 

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