人事評価に納得出来ない、という理由で会社とトラブルになる人はそれなりに多い。また、トラブルまでいかなくても、密かに不満を持つ人はもっと多いだろう。
この手の話を経営者の方とすると、
「会社の事情として、あまり給与をあげられれない」
「給与に対して成果が出ていないのだから、評価が低いのは当たり前だ」
といった、極めて普通の話となる。
だが、様々な会社における人事評価の内情を見ると、意外なことに
「評価の結果」や、「給与・賞与の額」
への不満、というよりは
「評価プロセス」や「公正な評価かどうか」
に不満は集中している。
面白いことに、「評価結果も気にするが、むしろ評価されるプロセスはもっと気になる」というのが、現場の実態のようだ。
ある会社の方はこう言った。
「給料が安いのは会社の事情を踏まえて我慢ができるけど、この評価のされ方には納得がいかない」
また別の方は
「ボーナスはちょっと上がった。でも、去年と比べて何が評価されたのか全くわからない。本当に私を見ているのか。」
といったぐあいだ。
では、「評価のプロセス」において、重要な事は何だろうか。様々な会社での不満を分析すると、次の5つに集約される。
1.この人に評価されたくない
・人格的にこの人間に評価されたくない
・仕事での関わりが殆ど無い
・好き嫌いが強すぎる(ように見える)
・評価の責任を回避する(評価を決めたのは私じゃないから…)
2.何を基準に評価されているのかわからない
・評価の基準がない
・評価の基準が説明されていない
・評価の基準が不透明で恣意的と感じる
3.話を聞いてもらえない
・ 一方的に評価を通達された
・事情を聞いてもらっていない(ように見える)
・自己評価が無視されている
4.適切なアドバイスをもらえない
・どうすれば評価が良くなるのか、教えてもらえない
・今期に期待されていたことを教えてもらっていなかった
・中間での面談などがない
5.評価の差が理不尽である
・同じ成績で評価に差がある
・仕事の難易度を考慮していない
・上司の無能のせいで、こちらまで評価が下がった
上司にとっては、数多い部下の一人を評価している、というだけだが、部下にとっては上司は1人だけである。
また、人事評価への不満はちょこちょこ出てくる、というような性質のものではなく、長い間貯めこまれたマグマが、突如噴火すると言った形で
「辞めます」
「我慢できません」
と言った具合に出てくる。
評価は、本当に難しいものだ。
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(Photo:acworks)