様々な会社において、新人研修を見ていると、「教えてもらうのがうまい人」と、「教えてもらうのがヘタな人」は明らかにちがいがある。
教えてもらうのがうまい人は吸収も早く、先輩や上司も教えがいがあるので仕事の上達も早い。
逆に教えてもらうのがヘタな人は仕事で苦労している人も多く、スキルアップのスピードに影響が出ている人も少なからずいる。
では、教えてもらうのがうまい人とヘタな人にはどのようなちがいがあるのか。
もちろん、先輩が思わず丁寧に教えたくなる条件として、礼儀や愛嬌と言った要素も重要だ。しかし、それ以前にテクニカルな「教わり方」というものが存在する。そして、私の観察では、つぎの5つがそれに該当する。
1、一度に一つのことを聞いているか
教えてもらうのがうまい人は、一度に一つのことしか聞かない。
例えば、「テレアポについて、全部で3つの質問があります。最初の質問は担当者の突破の仕方です。まずはこれを教えていただけないですか」と言った具合に聞く。
下手な人は、質問を畳み掛けてしまう。「テレアポの時に困ったことがありました。担当者から社長につながりません。それでもっと困ったのが、社長につながった時のトークで、電話をかける時間帯も問題なんですかね?」
と言った具合だ。
これでは、回答者もどれから答えてよいかわからない。場合によっては先輩がメモをとらなくてはいけない、という状況になる。
質問はこちらで予め整理し、一つ一つ聞くのが良い。
2、分解して聞いているか
教えてもらうのがうまい人は、質問を分解する。
「営業の導入時の、会社案内について聞きたいことがあります」
「営業でよく聞かれる質問の◎◎について、聞きたいことがあります」
と言った具合だ。
下手な人は質問を分解しない。
「営業がうまくいかないのですが、どうすればいいでしょうか?」
これでは、回答者はあなたに何がわからないのか、逐一インタビューをしなくてはいけない。「何がわからないのか分からない」状態で聞きに行くのも仕方ない部分はあるが、できるだけ自分で整理すると良い。
3、聞くべき人に聞いているか
教えてもらうのがうまい人は、「聞くべき人」を考えてから聞く。手近な人から聞くのではではない。
手近な先輩にはまず、「◎◎についてですが、誰が詳しいですかね?」と聞く。
教えてもらうのが下手な人は、「聞くべき人」ではなく、「手近な人」や「暇そうにしている人」に聞く。これではきちんとしたことを教わることができない。
4、何が知りたいのかだけでなく、何故知りたいのかを説明してから聞いているか
教えてもらうのがうまいひとは、教えてほしいことだけでなく、その理由も合わせて聞く。例えば、「顧客にサポートのうちのサポート力をアピールしたいのですが、うちのサポートの強みとは何でしょうか?」と言った具合だ。
教えてもらうのが下手な人は、教えてほしいことしか聞かない。「うちのサポートの強みは何でしょうか?」
一見同じように見えるが、教える方は「なんのため」がわかると、表現や言い方などに工夫ができるので、より良い情報が提供できる。
5、言葉を正確に使っているか
人に物を尋ねる時は、特に言葉の定義に注意する。相手が同じ言葉を同じ意味で捉えているかどうか、わからないからだ。
「大工と話す時は、大工の言葉を使え」というように、相手の言葉を使わなければ、正確な回答は得られない。
同じ組織に属している人に聞く時は、言葉の定義に大きなズレが有るケースは少ないかもしれないが、たとえばコールセンターなどに電話をした時、「なんか話がずれてるな」と思うときはないだろうか。
カタログやマニュアルに記載してある言葉を正確に使うことで、適切なサポートが受けられる。
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(Photo:Wonderlane)