あなたを、インターネットのwebサイトの一つだと仮定する。そして、あなたのサイトに訪れる人の数を、給与の額だと仮定してみよう。
訪れる人の数、すなわちトラフィックが増えれば給与の額が増える。そう例えてみてほしい。
収入の口が勤め先ひとつしか無い人は、あなたのところへ貼られているリンクが1本しか無いことを示す。いわば、親サイトを勤め先とすると、あなたは子サイトで、親から子へリンクが貼られているようなものだ。
また、残念ながらあなたのページは、検索エンジンにインデックスされてもいないので、親サイト以外からの流入はない。
あなたはトラフィックを増やすためどう努力するか?
ひとつは、親サイトでの評価を高めて、より多くの人を誘導してもらうことだ。
安定したトラフィックを親サイトが稼いでいてくれれば、あまり苦労せずにトラフィックを稼げるし、子サイトとして親サイトに貢献すれば、親サイトの管理人になれて、オイシイ思いをできるかもしれない。
この場合、親サイトからの評価がトラフィックの量の殆どを決めてしまうため、親サイトの意向にそぐわないコンテンツは載せられない。テイストも、内容も親サイトに合わせて変えなければならない。
親サイトに逆らったら、リンクからの流入を止められてしまうかもしれない。親サイトの指示にはおとなしく従うべきである。
また、親サイトのトラフィックを超えるトラフィックは絶対に手に入らない。自分だったらもっと人を集められる…と思う方は、親サイトから独立して、他に小さなサイトを立ち上げるだろう。
サラリーマンをやめて、独立するというのはそういうことだ。
もうひとつのトラフィックを増やすやり方は、「未だ見知らぬサイトからリンクを張ってもらう」というやり方だ。
だが、見知らぬサイトから勝手にリンクを張ってもらえるほど、ウェブの世界は甘くない。ほかのサイトからリンクを張ってもらうためにあなたがやらなくてはならないことが3つある。
- あなたの存在を、ほかのサイトの管理者に知らせること
- あなたが、ほかのサイトの役に立つコンテンツを発信していること
- あなたのサイトを、検索エンジンに登録すること
その3つさえできれば、あなたのサイトには多少なりとも流入が見込める。
現実世界では、1は他の企業の社長や管理職にあなた自身を売り込むこと。2は情報発信をしてこちらを振り向いてもらうこと、3は仕事を紹介してくれる場所、あるいは人に自分を売り込んでおくことだ。
「フリーランス」や「副業」はこう言った活動に当たる。
現在は、正社員、契約社員ともに、ほとんどの人が1社に収入を依存している、一本しか被リンクのないサイトである。
いずれにしろ、親サイトに自分のサイトの運命を委ねている、ということになる。
見るところ、インターネットと労働市場はとても良く似ている。殆どの人は会社外の人脈、すなわち親サイト以外からのリンクを持たない。「子サイト」である。
もしあなたがウェブサイトの管理人だったら、どれを選ぶか?
「子サイトから親サイトの管理人を狙う」のもひとつの生き方であるし、自分自身でサイトを立ち上げ、コンテンツを発信してもよい。
また、できるだけたくさんの知り合いを作って、リンクを様々なところから貼ってもらうのも生き方の一つだ。
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人と人のつながりは、「スケールフリーネットワーク」と呼ばれる。
スケールフリー性は、社会学をはじめとするこれまでの研究により、現実世界のネットワークで幅広く観察されている。
例えば、人々の持っている知人関係の数をみると、一部の人は非常にたくさんの知人を持っているが、大多数の人々の知人の数は限られている。
WWWではごく少数の有名サイトが数百万単位のリンクを集めているが、大多数のサイトはわずかなリンク先からしかリンクされていない。
(Wikipedia)
スケールフリーネットワークでは、ほんの僅かなノードが大きな数のリンクを有し、その他のノードはほんの僅かなリンクを持つにすぎない。
ほんの僅かな人々が大きな収入を得て、残りの大部分の人は僅かな収入しか得られない。情報とお金は、リンクを有する人のところにますます集中するのである。
これは、2000年前から変わらぬ法則だ。
マタイによる福音書の告げる通り、
「富める者はますます富み、貧しき者は持っている物でさえ取り上げられる」のだ。
インターネットは、「格差社会」の縮図である。
このような世界で生き抜くのに必要な力は、「自分でコンテンツを作成できる能力」と、「リンクを獲得できる能力」を得ること。
つまり、自分で作り、それを発信すること。それ以外にはない。
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(Photo:Steve Jurvetson)