Kindleで漫画がたくさん売られている。というか漫画のほうが遥かに売れているのかもしれない。
漫画は表現方法が「本」と異なるので、吸収できる単位時間あたりの情報量が少なく、読書にくらべて敬遠しがちなのだが、とは言え、よく出来た作品は、娯楽としての質が非常に高いので、自分もよく読む。
さて、日本の漫画の中で最も売れているのは「ワンピース」や「ドラゴンボール」、「ドラえもん」あたりなのだが、そういったメジャーどころは置いて、それほど有名でなくても面白いものはたくさんある。
その中の一つで、最近のお気に入りが「ヒストリエ」だ。
個人的には「三国志」や「ローマ人の物語」、「宮本武蔵」などの歴史物が非常に好きなのだが、「ヒストリエ」も古代マケドニア、ギリシャを舞台とした話であり、歴史物が好きな人にはかなりおすすめである。
主人公は実在した「エウメネス」という人物だ。私はこの漫画を読むまでこの人物のことを知らなかったのだが、かなり謎に包まれた人物のようだ。古代の英雄であるアレキサンダー大王の臣下で活躍した人物とのこと。
しかし、この人物を作者の岩明均は豊かに描き出す。子供向けの漫画にありがちな、「スーパーヒーローとしての主人公」でなく、「知的な大人」タイプの主人公であるため、受け入れやすいだろう。
西欧では7世紀まで発明されなかった「鐙」を実はエウメネスが発明していた、などのちょっとしたエピソードも、読む人をニヤリとさせてくれる。(ちなみに、鐙の発明は大きなイノベーションとされている。鐙の発明により、騎兵の戦闘力が飛躍的に高まり、「騎士階級」が生まれ、中世が形作られたとドラッカーが述べている。)
よく知る人に紹介してもらった漫画なのだが、一気に8巻まで呼んでしまった。作者は休載が多いようなので、のんびり待つことにする。