リクルートの人が来社した時、こんな会話があった。
彼女はこう言いました。 「新卒採用の説明会などで、学生さんに、経営者が熱く経営理念を語るといい」って言われてますよね。
「そうですね」と私は相槌を打った。たしかに私もそう思っていた。
「あれ、学生さんから評判悪いんですよね。実は。」
「そうなんですか?」私は驚いた。社員をまとめるためには経営理念、それは半ば企業経営の常識となっているからだ。
「でも、なんで評判悪いんでしょう?ビジョンを語るリーダーについていくと、よく言われているのでは」
彼女は少し間を置いてから、静かに言った。 「熱く語れば語るほど、自分に酔っているように見えるらしいです。」
確かにアジテートしているようにしか見えない経営者もいる。熱く語るあまり、周りの反応が見えなくなっている経営者。確かにそうかもしれない。
彼女は続ける。「確かに会社のビジョンを聞きたい、っていう学生さんもいます。でもそれはごく一部です。ほとんどの学生さんは自分が仕事をきちんと出来るかどうかのほうが、会社の将来よりも遥かに気になっているみたいです。」
なるほど。
「つまり、熱く語る経営者は、学生さんのニーズを見ていない、というわけですか。」
彼女は言う。「そこまでは言わないですが、外していることも多い、ということでしょうか。」
採用活動は「自社の思いに賛同する人を集める行為」と思っている人も多いかもしれない。
しかし、そういった活動で対称となるのはごく一握りの学生だ。多くの学生は「まずは自分が出来る仕事を探しに来る」
学生は顧客ではないが、採用は営業に非常に似ている。だが、学生を相手にするとどうしても「自分の言いたいこと中心」に、採用を考えてしまいがちだ。
そんな基本的なことを思い出した会話だった。
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