本日の日経電子版で、三陽商会が「バーバリー」のライセンス供与の契約を打ち切られたと報じられた。
三陽商会、「バーバリー」販売終了へ 売上高3割相当 (日本経済新聞)
かなり前から「三陽商会は大丈夫か」と言う話があったが、ついに最悪のシナリオが現実となってしまった形だ。実際、関連ブランドも含めると、三陽商会の売上の半分をバーバリーに頼っているという。
売り上げの半分を稼ぐバーバリーライセンス頼みの危うい経営(ダイヤモンド・オンライン)
”三陽商会はコートを日本に広めることで成長してきた企業だ。中でも英バーバリー社とのライセンス契約によって製造・販売したコートは人気を呼び、今ではコートだけでなく幅広いアイテムを持つファッションブランドとして同社の大黒柱となっている。
しかし後述するように、このバーバリー事業に危機が迫っている。その上、売り上げの大半を稼ぎ出す百貨店ルートの落ち込みが激しく、人件費も同業他社に比べて高止まりしている。三重苦によって業績の低下には歯止めがかからず、売上高は4期連続で減少、営業損益は低迷している。まさに危機的状況といえる。
三重苦の中でも最も深刻なのがバーバリー事業だ。
「売上高の約50%はバーバリー。利益率も高い」(アパレル業界幹部)という基幹事業だが、そのライセンス契約が2015年6月で終了する。ライセンス元のバーバリー社は三陽商会をはずして、もうかる日本事業を自ら手がけることを検討している。当然、三陽商会はライセンス契約の継続を求めて交渉を続けている。先行きは見通せない状況だ。”
バーバリー側は、日本では直営店を増やす施策を取っていくようである。
三陽商会、バーバリーとの交渉が正念場 来年契約終了か(朝日新聞Digital)
”英国の高級ブランド「バーバリー」の商品を売り続けることができるかどうか、アパレル大手の三陽商会が正念場を迎えている。ライセンス契約を結び、バーバリーの洋服などを40年以上、製造・販売してきたが、英バーバリー社が契約を来年6月末で打ち切る考えを示しているからだ。
だが2009年、当初は20年までだったライセンス契約期間を5年短縮し、15年6月末までとすることで合意した。契約更新の可能性は残していた。しかし、関係者によると、バーバリー社は更新に否定的だという。「英国の本社が企画する、より高級な商品に統一し、ブランドの価値を向上させていく」(関係者)とみられており、東京・銀座など国内に14ある直営店を増やす考えという。”
この話から得られる事はなんだろうか。様々なことが言えるとは思うが、おそらく殆どの方が思ったのは
「一つの会社から供給される商品の売上が全体の3割も5割もあるようでは、経営は非常に危うい」ということではないだろうか。
私が昔よく訪問していた中小のIT業も、大手のSIに売上の大部分を依存している、ということがよくあった。
リーマン・ショックでSIから仕事が絶たれた瞬間に、会社が立ち行かなくなってしまったということを聞くにつけ、「会社の業績のコアな部分を他の会社に握られている」ということの怖さを思い知った。
三陽商会は紛いなりにも東証一部の会社である。その会社がひとつの供給先を失った瞬間に、売上の3割を失うなど、本来であればあってはいけないことだ。
「集中と選択」という言葉が使われて久しいが、シャープの液晶、三陽商会のバーバリーなどが示すように、「選択と集中」は社運をかけたものになり、失敗すれば文字通りの大失敗となるのだろう。