アドバイスは具体的な方が良い、と言われることも多い。
実際、セミナーや書籍に沢山の人を呼ぼうとすれば「具体的である」ほうが絶対に集客も満足度も良いのは確かである。
だが仕事においては相手が有能であればあるほど、「具体的なアドバイス」ではないほうが良いことが多い。
いや、この言い方は語弊があるかもしれない。正確に言えば「具体的なアドバイス」よりも「法則」や「一般解」のほうを彼らの方から求めてくるのだ。
例えば、ある商品を売りたいとする。
あまり力量の高くない営業は、「具体的にどのようなトークをしなくてはいけないか」(何を話せばいいですか?)や、「商品のウリ文句はどうすべきか」(なんて言ってアピールすればいですか?)をアドバイスしてくれ、と言ってくる。
しかし、相手の力量が高い時、とくに経験は浅くても頭が良い人物などへアドバイスをするときには、具体的なアドバイスは逆に不満だと言われる。
彼らが聞きたいのは、「法則」である。
私の知るある営業部長は、「バカな奴には具体的な方法とトークを教えるが、有能な奴には価値観と原則を教える」と言った。
「頭の良い営業マンには、営業の成果は単価×顧客数×リピート数で決まる、とだけ教えれば、後は勝手に動く。あとは逆に口を出すと良くない。彼らはプライドが高いからな。
そうしたら、ある部下は「リピート率を決定する要因はどうお考えですか?」と聞いてきた。オレは「満足度と意外性」と答えた。それで十分だったよ。
そこであれこれ、満足度を高める手法やら意外性を出すやり方をこちらが指導すると、鬱陶しく思われる。奴は自分で調べてたよ。まあ、できるってのはそういうことだな。」
彼は常に、マネジメントは相手を見てせよ、という。
「相手の力量を考えて、どこまで言うかを決めてる。でも、具体的なことしか聞かない奴は大体ダメだな。
現場なんて細かい条件が全部違うんだから、その場に応じて考えなければいけないのに、「部長に言われたとおりやったけどダメでした」とか言ってくる。そんなの当たり前じゃん、少しは考えろよ、っていいたくなる。
まあ、そんな奴には手取り足取り教えることが必要なんだが、手間ばかりかかって成果はほとんど出ない、って言うケースが多いね。まあ、今までなにもん考えずに生きてきたツケが回ってきてるんだろうね。」
私は聞いた。
「自分で考えられない人はどうなるんですかね。」
「知らんよ。そいつらに時間をかけてたら、部門全体の数字も危うい。できるやつに2倍稼がせるほうがよっぽど簡単だから、そっちに注力せざるを得ないだろう。
まあ、そいつらは向いてないんだろうな。考える仕事が。」
これを聞いて、身も蓋もない話と思うだろうか?
そうかもしれない。でも現実だ。
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